052いい写真とは 3
卒業アルバムと学校写真のエキスパート 一級写真技能士の田賀谷浩です。今回もお目通しいただきありがとうございます。
いい写真の前提として人間の眼とカメラの違いを認識しておきましょうという展開をしています。今回はピントの合わせ具合について。
それにしても昨今のスマホカメラは「超」がつくほど優秀ですね。タイトルピクチャーの画像はiPhoneのカメラで料理に目が行きやすいようにポートレートモードでぼかしを強調して撮影したものですが、まるでデジイチで撮ったかのような描写力で撮れてしまいます。なかなかのものですね。
どこまでピントを合わせるか?
映像を撮る場合、ピントを合わせる場所をどこからどこまでにするかが大切な選択肢になります。大別すると
・一点だけにピントを合わせた「ボケ表現(シャローフォーカス)」
・手前から奥まで全部にピントが合っている「パンフォーカス」
の二つになります。
ボケ表現での特徴はなんといってもピントの合っている所だけに意識を集中させて見てもらえる事でしょう。身近な例で申せば少人数のポートレートはほぼこれで撮りますし、一輪の花などをクローズアップで撮る場合も基本はボケ表現になります。絞りをプリセット出来るカメラの場合は絞りを開けて(より小さい数値で)撮影します。ピントを合わせる一点は被写体によって異なりますが、人間でも他の生物でも顔のある被写体の場合は基本的に眼に合わせるのが鉄則です。
特にアップショットの場合は耳や鼻頭はもちろん、眉毛すらもピントが外れるくらいの撮り方でも全く違和感が出ないどころか、むしろ強い表現になります。半身や全身を撮る場合は必ず顔に合わせます。
逆に眼や顔にピントが来ていない場合はいくら表情が良くても残念な写真ということになります。
パンフォーカスは本来であれば手前の近景から遠景まで全部にピントを合わせた撮り方を言いますが、今回は敢えて主要被写体の話として進めたいと思います。何十人という人数を写そうとする場合、前後に何列にもなる場合があります。さて どこにピントを合わせるといいでしょう?一番手前の人でしょうか?ちょうど真ん中に当たる列の人でしょうか?それとも・・・。
レンズのピントの合う範囲を被写界深度といいます。光学特性上、手前側より奥側の方が被写界深度が少し深いので、前後に4列から5列ある時は2列目に、もっとある時でも真ん中より少し手前の列にカメラのフォーカスポイントを持って行ってピントを合わせるとしくじりにくくなります。
絞りをプリセット出来るカメラの場合は絞りを絞って(より大きい数値で)撮影します。
ボケ表現でもパンフォーカスでも絞りの値がどの程度が適正なのかは、こればかりはケースバイケースであり経験値によるものでもあるので、まずはいろいろと試してみてほしいと思います。
ということで今回はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございました。