091多様性とは言うけれど
卒業アルバムと学校写真のエキスパート 一級写真技能士の田賀谷浩です。今回もお目通しいただきありがとうございます。
昨今聞かれるようになったDEI(ディー・イー・アイ)。多様性のDiversity(ダイバーシティ)、公平性のEquity(エクイティ)、包括性のInclusion(インクルージョン)の頭文字を取った言葉です。
元々はアメリカで生まれた概念です。人種や性別による差別撤廃を謳った公民権運動なんて1960年代の過去の話と思われがちですが、現在に至っても人種や性別、出身地、宗教などによる雇用差別と偏見に満ちた国です。それに乗っかる形で地位や名誉、経済力を得た「支配者階層」にあたる人たちが、心に去来する後ろめたさを払拭すべく声をあげ始めたのが始まりです。昨今生産性を上げる手段として多様性が有用との研究結果も相まって声高に叫ばれはじめたというわけです。
多様性と言うと私も含めて民族や国籍、さらには性自認の事だと思わされてきましたが、生産性を上げる多様性とは経歴、教育内容、専門性の事だそうです。アメリカ自体が元々が多種多様なルーツを持つ移民の国ですから、民族や国籍の多様性と経歴や学歴、専門性の多様性もイコールになりやすい。
片や日本は移民国家ではないので人種民族の多様性には欠けますが、千年以上にわたり八百万の神のどれを信仰しようと、どの宗派に帰依しようと差別偏見されることもなく、さらに戦国時代にキリスト教ではタブーであった男色が行われていたなど性風俗に至るまで、元々が個人の資質や才能の多様性を尊ぶ寛容な国柄でしたから、無理に海外の概念をそっくりそのまま導入する必要性もないはずです。
情報のやりとりを確実にするためにあるはずの報告書なのに、内容よりも作成する事自体に重きをおいたり、ややもすると誤字脱字のチェックに精力を注いでみたり、クォーター制度があるからと適性や能力、場合によっては本人の意思を度外視してでも役員の男女比率に拘ったり・・・。
枠組みや概念は本来は手段であるはずなのに、日本人は何かと枠にキチンとはめたがったり概念を遵守したりすることを目的化してしまう性向がありますね。
多様性はあくまで手段であり、手段の運用はおおらかに寛大に。
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