市販の食パンがもたらす、朝の幸福感
わたしは根っからのパン派だ。
作るのも食べるのも好きで、パン屋でバイトしていたこともある。朝ごはんは食パンを選ぶことが多い。トーストして、バターとジャムと牛乳があれば、それで幸せ。
しかし最近の食パンは高級志向のものが多く、自分の好きなものを追求しだすと味もお値段もキリがない。なのでなるべく専門店では買わず、スーパーで買うようにしている。「超熟」や「本仕込」など、その時の気分で買うスタイルだ。メーカーにこだわりはなかったのだが、先週末、めちゃくちゃ美味しい食パンと運命的な出合いを果たしてしまった。
タカキベーカリーの、「米粉入りもっちりブレッド」だ。8枚入りで、サイズ感は小ぶりなのだけれど、しっかりとした厚みがある。
1口食べてみてびっくり。さっくりもっちり、そして甘みがすごい。他の食パンでは感じられない米粉の甘みが、ふわっと口の中に広がる。特におすすめの焼き方は、フライパンだ。バターをたっぷりひいて、両面を焼く。この焼き方が、このパンのポテンシャルを存分に引き出せると思う。オーブントースターと決定的に違うのは、もちもち感をたっぷり残せるところだ。フライパンで焼くと、「サクッ」と「もちっ」が同時にやってくる。この幸福感が、たまらない。
書いているとまた思い出してしまった。食べたい。市販の食パンに感動したのは、正直言って初めてだ。これからはこの食パンだけを買おう、と決心した。週末のことだ。
土日で夫とすべて食べてしまったので、月曜日だった昨日、もう一度買いに行った。
……しかし。
悲しいことに、売り切れだった。超熟がズラーっと並ぶなか、ひっそりとしたスペースに陳列されていたのだが……見逃したか?そう思ってもう一度よく確認したが、やはり売り切れだった。そう、このパン、あまり大々的に展開されていないのだ。今のスーパーを利用して1年半以上経つが、先週初めて「米粉入りもっちりブレッド」の存在に気づいたほどだ。
おそらく、この美味しさに気づいている人たちがけっこう多いのだろう。売り切れだと分かった瞬間、ライバル心というか、熱い思いがメラメラと心の中に灯った。
「次こそ、ゲットする!」
強い気持ちを持つのは良いが、「タカキベーカリーの『米粉入りもっちりブレッド』は、次いつ陳列しますか?!」なんて店員さんに聞けるわけもなく。
おとなしく「超熟」を買って退散したのだった。