短歌十首連作,「百人一首殺人事件」
毒殺眞夜ふかき水銀燈列に青年あぶくくちびるにふき
令和アンソロジイ編纂の主宰稠密推理など展開せしことを知り
探偵肘掛椅子ゆたちあがり百里千里眼もて見むに犯人
密室劇退行現象の過去へ帰らなく百人一首殺人事件
歌人一人ごとことごとに当て嵌む被害者死者百人をかぞへり
探偵曰「洞察は霊、推理は舌に宿る被疑者は外にゐる!」
運行表秒刻みに特急列車こだまに乗りあはず正確の死は
意外なる犯人 意外なる犯行 復讐に銃痕のくちづけを
真犯人は皆殺しき理由を告げき或る医学の係累をなべて死
日本軍731部隊に係りて皆富めりわれはマルタの曾孫なり 碧眼婦人