お金を掛けないリスキリングを模索する(外国語編)
最近流行りの「リスキリング」に乗っかって、少し前から中国語の勉強をしています。以前少し齧っていた事があるのと、言語教育は学生時代大学院まで行って勉強していたので、その知見を思い出したいと思いまして。
その中で1つだけ「極力お金のかからないサービスを使う」というのを、初期段階の目標にしました。新しい学びを始めるのに、「お金」というハードルが高いのは考えものですし、お金を掛けずにどこまで言語学習ができるのか、個人的にも気になったというのもあります。
今回は無料or少額有料の中国語学習サービス、実際に使ってみた感想をまとめたいと思います。「中国語」としましたが、英語学習だともっと幅広いサービスが提供されていますし、他の言語学習でもお役に立てるかと思いますので、ご参考まで。
1. Duolingo
TVCM等でもお馴染みのDuolingo。様々な言語学習に対応していて、英語や中国語といった人気言語なら日本語で無料レッスンを受けられます。有料プランもありますが、私は最後まで無料でやり通しました。
最初は 「我叫李华,你呢?(私は李華です。あなたは?)」みたいな簡単な文から、並び替えや和訳が中心のレッスンが続きます。中にはスマホのマイクを使った発音問題もあったりしますが、精度の程は正直疑問です。
連続レッスン記録をカウントしていて、1日起動しないと煽ってきます。またExpで世界中のユーザーと競争してリーグを上がって行くシステムが、競争心を煽ってやる気になります。これはとても良いシステムだと思いました。
ただし文法的な説明が一切無いのと、和訳がいきなり意訳だったりするので、「どうしてこういう意味・使い方になるのか」が全く理解できない表現もあります。同じ文章を中国語訳・和訳・発音で使い回しているようで、理解の幅もかなり限定的になりがちです。あと最上位リーグまで上り詰めるとそれ以上のモチベーションが急に無くなるのも、このシステムの悪い所だと感じました。
◆感想
入りやすさ:★★★★★(スマホでサクッと基礎の基礎が学べる)
効果 :★★☆☆☆(はじめての言語なら良い導入になる)
2. 東京外国語大学言語モジュール
いきなりマイナーな所を持ってきた感がありますが、調べてみると最近の大学は専門性の高さを活かして、オンライン教材を無料で提供している事が多いです。東京外大の言語モジュールもその一つで、内容の充実度はもちろん、幅の広さも頭一つ出ているかと思います。
発音・会話・文法・語彙のモジュールに分かれていて、ネイティブが登場する会話スキットを使った表現・文法の学習ができます。かなり年季の入ったスキットですが、言語学習には支障ありません。もちろんスマホにも対応しています。スマホアプリになってたらもっと良かったのに。
良くない所を上げると、文法の説明が詳しすぎる所。私は元言語学研究員なのでこれくらいのほうが助かるのですが、とっつきやすさは皆無ですよね。。。
◆感想
入りやすさ:★★★☆☆(お手軽だけどちょっと古臭い)
効果 :★★★☆☆(Dolingoよりは効果ありそう)
3. NHKテレビ/ラジオ外国語講座(一部有料)
ちょっと前に朝ドラでもテーマに挙がっていた、NHK外国語講座。せっかくNHK受信料を払っているのだから、活用しない手はないですよね。
ラジオは週5回、テレビは週1回の放送です。私はラジオの方を主に使っていますが、「らじれこ」というPCソフトを使って録音し、通勤の車の中で聴いています。テレビ放送もNHK+に無料登録すれば、1週間以内であればPCやスマホで見ることができます。ただし登録には受信料を払っている必要があります。
初心者向け講座を聴いているのですが、外大のモジュールより文法説明が分かりやすいのでDuolingoからのステップアップにはちょうどいい内容です。途中スキットが入るのですが、中国語はテレビ/ラジオ共に役者の演技に気合が入っていててちょっと聞き取りづらいときがあるのが、ある意味難点。ふなっしー(船梨精)の中国語力に驚かされました。
基本は無料で使えるサービスですが、テキストを購入するとより効果的なのは言うまでもありません。私はラジオのテキストだけ毎月購入しています。電子版だと530円/月。半年で番組は終わるので、合計でも3,180円の出費です。普通の中国語教本1-2冊分くらいでしょうか。もうすぐ一通り終わるので、ステップアップ講座に移る予定です。
◆感想
入りやすさ:★★★★☆(スキットは面白いし説明も分かりやすい)
効果 :★★★★☆ (テキストを購入するとより効果的)
4. ChatGPT + Google スプレッドシート+ Google翻訳(百度翻訳)
急に雰囲気が変わりましたが、これまた最近流行りのChatGPTがいい教材になってくれます。それもあの投野先生がおすすめしているのだから、間違いありません(非常に高名な英語学の教授です)。
これまでは入門向けに文法理解がメインでしたが、ChatGPTでは読解と疑似会話を中心に学べます。「短い物語を中国語で作って」と指示するだけで、ちょうどいい長さの文章を生成してくれます。またプロンプトを色々調整する必要もありますが、こちらが入力した中国語の文に対して、会話形式で中国語を返してくれるので、擬似的な会話練習も可能です。作文は会話の練習にもなるので、初心者は作文から始めるのがおすすめです。これでこちらの文法エラーを指摘してくれたら最強なのですが、そこまではうまくいっていません。プロンプト次第?
私はそこにGoogleスプレッドシートと百度翻訳を合わせて、聞き取りと単語帳作成を同時に行っています。百度翻訳はGoogle翻訳でも代用可能です。
Googleスプレッドシートには「googletranslate関数」というものがあり、指定したセル内の言葉を他の言葉に翻訳することができます。また中国語の場合発音記号の「ピンイン」を出力する「Mandarin Cantonese Tool」というアドインもあり、指定したセル内の中国語をピンイン表示に切り替えてくれます(しかも広東語対応)。
百度翻訳は日本語訳の答え合わせの他、入力した文章を中国語で読み上げてもらうためにも使っています。Google翻訳の中国語より自然で聞き取りやすい印象。他のサービスも試しましたが、中国語では百度翻訳が一番良かったです。英語だとGoogle翻訳も割と良い精度なので、そこは気にしなくていいかと。
◆感想
入りやすさ:★★☆☆☆(全部無料だけど設定が面倒くさい)
効果 :★★★★☆(多少間違えても空気を読んでしまう)
語学も無料で学び始められる時代
外国語でもなんでも、学び始める一番の障壁は「始めやすさ」だと思います。教本や辞書を買ったり、スクールに通ったりするのは、それだけで1つ大きなハードルになりますよね。それが今ではここまで無料で、全てスマホやPCで初められるなんて、いい時代になったものです。
これまで上記の4つを続けてきましたが、日本語の漢字の知識や大学入試で勉強した漢文の知識も合わせて、半年程で読解や簡単は発話まではできる様になりました。聞き取りが弱いのと実際の会話だけはどうにもなっていないので、そこから先はまたステップアップが必要だと自覚しています。
もう一つどうにもなっていないのが「簡体字が手書きできない」という点。ピンイン入力で覚えてしまっているので、「书(書)」とか「 龙(龍)」とか日本語から離れているものは書ける気がしません。これが朝鮮語やアラビア語だったらどうしようというのは、また別の課題ですね。