映像表現に強くなる!逆シナリオのすすめ
祖父新井一の書いた『シナリオの基礎技術』をもとに、脚本家志望の方々に、ちょっとでも役立ちそうな発信をしたり、しなかったりしています。
シナリオ・センターは、1970年に優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に、新井一が創立。
ジェームス三木さん、内館牧子さん、岡田惠和さんなど600名以上の脚本家、小説家を輩出するの学校です。
URL:https://www.scenario.co.jp/
で、今日は、映像表現に強くなる方法を、世田谷文学館で開催中の『描くひと 谷口ジロー』展に行って思いついたので、発表します。
あくまで、思いつきです。読んでみて、意味なさそうっ、と思ったらやらなくて、全然OKです。
やることは、谷口ジローさんの漫画『歩くひと』を、シナリオにしてみることです。逆シナリオとでも、いう感じでしょうか。
谷口ジローさんの『歩くひと』を用意
実践するには、谷口ジローさんの漫画『歩くひと』を、用意してください。これがないと、話が進みません。
え?谷口ジロー、知らない?
それは、やばいので、いますぐググってください。それか、身近なフランス人に「谷口ジローって知ってる?教えてシルブプレ」と教えてを乞うてください。
『孤独のグルメ』の作者、といえばお分かりになる方も多いかもしれません。
と、それっぽく言っていますが、ぼくもそんなに詳しくないです。
ただ、ウチの奥さんが買ってきた漫画『歩くひと』を読んで、衝撃を受けました。
「こういう漫画も、あるんだ」
そして、すごいな、っと。
『歩くひと』は、ただ歩いているだけの漫画
じゃあ、どんな漫画なのか、というと、主人公がただただ、歩いている漫画です。
でも、ちゃんと、主人公のキャラクター性も伝わってきますし、生活感も伝わってきます。そして、登場人物たちの感情も伝わってきます。
ちなみに、セリフは、ほとんどありません!
谷口ジローさんの画力、コマ割りの演出力も魅力ですが、それ以上に、セリフほとんどなしで、ぐいぐい引きつける構成力がすごい!すごすぎます!
その辺、『描くひと 谷口ジロー』展で、デビューからの足跡を追っていくと、また納得感があります。まだの方は、ぜひ!
漫画を逆シナリオに起こしてみる
映画を観て、逆箱を作るというのは、よくあります。逆箱とは、簡単にいうと、映像作品を見て、それを起承転結でも三幕でもいいのですが、構成の形に戻すという方法です。
実際に、『ボヘミアン・ラプソディー』を逆箱にした記事があるので、「逆箱?」という方は、ご参考までに。
で、同じ要領で、漫画からシナリオに起こしてみることで、映像表現の力がつくのではないか、ということです。
しかもその教材として、『歩くひと』はうってつけです。
だって、セリフがほとんどないから。
ということは、『柱』と『ト書』だけでシナリオを書くことになります。
映像表現のポイントは、なんと言っても、主人公の感情や目的、人物関係から時間経過まで、映像描写だけで表現する点、です。
「はぁ〜疲れた」
「俺が、部長に話しつけてくる」
「あいつ、また10分遅刻かよ」
とかとか。
セリフに頼りたくなる気持ちは、わかります。伝わる安心感があるから。
でも、それ、全部、説明ですから!残念!!ってやつなわけです。
※じゃあ、セリフをどう説明っぽくしないかは、また別の機会に。
なので、セリフに頼らず、映像描写=ト書の部分に強くなりたい!という人は、『歩くひと』の逆シナリオをお勧めします。
ぼくのお勧めは、第8話『長い道』です。これ、セリフなし!です。
あと、第15話『よしずを買って』です。これも、セリフなし!『柱』の勉強にもなります。
ちょっと興味湧いてきた、けど、「漫画を買うのはなぁ〜」という方は、NHKで『歩くひと』やってますので、どうにか観てみてください。
主演は、井浦新さんです。新さんの「へぇ〜」とか「あぁ〜」とか「おぉ〜」とか、バリエーション豊富な感嘆の演技にも、注目です。
ヒッチコックは、「映画は、ト書、ト書、ト書」と言ってますから。ト書に強くなると、脚本の腕はそうとう上がると思いますよ!!
シナリオ・センターのあらいでした。
▼映像表現については、こんなことも書きました▼
▼谷口ジローさんの仕事部屋のイラストも展示会で見れますよ!▼