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<啓蟄>春を告げる魚たち

日本語の中には、季節を表す美しい言葉が数多くあります。「春・夏・秋・冬」という巡る季節を持つ日本ならではのものといえます。

「春告魚(はるつげうお)」も日本で暮らしていることに喜びを感じるそんな言葉の一つだと思います。漁師の方が、ある魚が穫れるようになると、「あ、春がきたな…!」と感じさせてくれる魚たちのことを親しみを込めて「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれるそうです。地域や時代によっても春告魚は異なり、花や鳥だけではなく、魚でも春を感じることができるんですね!

調べてみると、地域によっても春告魚は異なるようなので、まとめてみました。

北海道・・鰊(ニシン)・桜鱒(サクラマス)
一昔前なら産卵のために群れで集まる鰊(にしん)でしたが、漁獲高が激減したためメバルが春告魚と呼ばれるようになってきました。
山形県北西部の日本海沿岸庄内地方ではサクラマスが有名です。最上川で孵化したサクラマスは成長とともに降海、つまり日本海へ降りていく。その後、産卵のために再び最上川に戻ってくるのだが、その時期が春でありサクラマス漁の最盛期になります。
関東地方・中部地方・・鮴(メバル)・針魚(サヨリ)
関東地方や中部地方、それに北陸地方など幅広いエリアで春告魚とされているのが「鮴(メバル)」です。「針魚(サヨリ)」は北から南まで分布は広範囲に及びますが、中でも関東地方は春にサヨリ漁の最盛期を迎えることから、春告魚として親しまれています。
関西地方・・鰆(サワラ)・イカナゴ
「鰆」は、漢字も見てもわかるように、春の訪れを知らせる魚の一つで。出世魚しても有名ですね。
四国地方・・鰹(カツオ)
「初ガツオ=5月頃」というイメージが強いため春告魚といってもピンとこないですが、高知県で初ガツオが穫れるのは3月後半頃からであり、4月頃に旬を迎えるそうです。
九州地方・・素魚(シロウオ)
九州地方で春告魚といわれているシロウオです。早春の風物詩としても有名です。漢字で「素魚」と書くので、「白魚」とは異なる魚です。こちらはシラウオと呼びます。

日本古来の「七十二候」の季節では、2月中旬の「立春・魚上氷(うおこおりをいずる)」でも、気温が上がり、川や湖の水がぬるんで氷が溶けるころです。魚も春の訪れに水面に飛び跳ねるというように、季節を感じることができると言われます。もう立春は過ぎ、今は「啓蟄・菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」になります。次回まとめてみようと思います。

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