最後の夢を打ち砕かれた日(フランス革命後日談について)
長年、自分の中で抱えていた、ひとつの夢が、無惨に打ち砕かれました。
マリー・アントワネットの息子、つまりフランスの王子様、ルイ17世。
ベルサイユ宮殿でたっぷりと愛されて育てられたが、
四歳の時にフランス革命が起こり、父母から引き剥がされ、ネズミや害虫だらけの牢屋に放り込まれ、「再教育」と称された徹底的な虐待と拷問を受け続け、10歳で複数の病でボロボロに衰弱して亡くなった、、、とされている。
けれど、その後しつこく「ルイ17世生存説」が囁かれた。
「いくら革命政府でも、そんな幼い子をいびり殺すなんて酷いことはしていないだろう」「なんだかんだ、記録では死んだことにしつつ、こっそり脱出させて平民としてどこかで育ててやったのではないか」というわけだ。
私自身も、長らく、「そうであったらいいなあ」と思っていた。
けど、以下の本にて、
虐殺された10歳の少年の死体の心臓と、マリー・アントワネットの一族のDNAを比較したところ、惨殺されたこの10歳の少年は影武者ではなく、間違いなくマリー・アントワネットの血を引く者、つまりルイ17世、王子その人であったと証明された旨。
「いくらフランス革命政府(特にジャコバンなひとたち)でも、幼児を精神的にいじめた上で惨殺なんてことは、さすがにしていないのでは」という最後の夢をかけていたのだが、なんてこった、本当に殺っていやがったか。
残念である。まことに、残念であり、心から王子に同情する。
日本人的な発想だが、どうか、生まれ変わった世で父母と再開し、幸せに暮らしていると信じたい。
それにしても、ほんとうに夢も希望もないDNA鑑定結果である。残念だ。まことに残念だ。残念だが、真実が明らかになったことについては、現代科学のおかげと評価したい。こうやって歴史の悪が暴かれることもあるし、それが真実なら、受け止めなければ。