年の初めに思うこと 皆が幸せな社会を築くために
昨年はとにかく色々なことがあり、特に暗い話題が多かったのは否めないのですが、その中でも、気になったことがあります。それはデマや流言飛語、誹謗中傷といったものや、正しい発言が声の大きな人に阻まれるといったことです。
新型コロナウィルスの感染が急速に拡大し、すぐに対処法が解らない状況の中で、多くの人が未知の恐怖にさらされることになりました。こうしたことから、特にインターネット上で、様々な言葉が飛び交いました。
僕は、この現象は、多くの人が感情に流されてしまったために起きた人災だと考えます。
感情は大切です。
特にこうした苦しい時期ですから、嬉しいこと、楽しいことは多くの人と分かち合いたいです。実際に僕も、昨年の秋に教え子の結婚式に出席したときは、大きな理由もありますが、本当に嬉しく思いました。
しかし負の感情を人に向けるのはいけません。
昨年の、最初の非常事態宣言から、私たちの生活は大きな変化を強いられました。不安や戸惑い、どうにもならない理不尽に対する怒りなど、多くの人の負の感情が、言葉として溢れていました。つまり、世界中の人が負の感情に流されてしまったのだと思います。
・誰の顔を見ているのか
こうした状況のなかで、僕は「誰の顔を見ているのか」ということが大切になると考えます。
これはマネジメントにおいても言えます。
僕は経営学で、マネジメントをトップマネジメントと6つの機能別マネジメントに分類して説明しています。それぞれのマネジメント項目が独立しているわけではなく、相互に関係しています。
マネジメントとは極めて科学的な行為ですから、勘で何とかなるものではありません。しかし一方で、企業の営みは全て人に関わるものです。そのため「誰のためのどんな行為か」を考えなければうまくいきません。
このときの、「誰のどんな顔を見ているのか」が、とても重要になります。
製品やサービス、働く人など、企業の目的は常に消費者の顔が見えていなければなりません。企業内の環境などは、常に働く人の顔が見えていなければなりません。働く人は、その人の前後左右の、共に働く人の顔が見えていなければなりません。このような環境を整えることが、経営者の重要な役割の1つです。
僕があまり消費者モデル(ペルソナ)マーケティングを行わないのは、ここに理由があります。
元来、事業を始める段階で、誰のために事業を行うのかを明確にしていれば、無理にペルソナを作成する必要はありません。もし必要とするのであれば、それはその「顔」を企業全体の共通認識にするためのSECIモデルと言えます。
安易にペルソナを設定すると(その時点で顔が見えていないのですが)、かえって顔が見えなくなります。
こうした視点がないと、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)など、到底できませんから。
昨年の悲しい出来事、特に上述のような「人災」は、インターネットという顔が見えないことから起きたのだと思いますし、顔が見えないチャネルだからこそ、意識的に顔を見るよう努めなければなりません。
先に述べたように、マネジメントは極めて科学的な行為ですから、現代科学の基礎である微分積分が不可欠ですが、、、
それ以上に、これからの社会は、人の顔をしっかり見ることが重要なのではないでしょうか。