釣りで怖い思いをした話:死の堤防編
ルアーフィッシングが趣味である自分ですが、長い釣り歴の中で怖い思いをしたことが何度かあります。今回はその一つを自戒も込めて手短に紹介しましょう。
エピソード
溯ること6年前、自分が高校生の頃の話です。
現在は完全封鎖された当時地元で有名な立入禁止堤防がありました。
その堤防では毎年数人が命を落とす、いわゆる死の堤防で、先輩や同級生の釣り仲間の間で話題になっていました。
若気の至りと言いましょうか、人一倍好奇心が強く好釣果を血眼になって追い求めていた自分は通い慣れた友人の一人とノリ、怖いもの見たさで釣りに行く約束をしてしまいました。
当日、学校終わりに自転車を漕いでポイントに行き、最初の感想は長い沖続きの堤防だなと思いました。
その割に案内された釣り座は海面から2mという感じで海が穏やかな時期だから良かったものの、冬に行けば荒れ狂う日本海の中でとても耐えられるものではなく、確実に流されて土左衛門(水死体)として見つかるのが関の山だと感じ、ゾッとしたのを覚えています。
その釣り座と堤防との間には意図的に人が渡れないよう1.5〜2mほどの間隔があり、代表のオッサンが自前で作成した板を伝って常連さん達は渡っていました。
代表のオッサンは悪事を働くとは裏腹にとても気さくな方で誰でも好きに渡って良いと言ってくれました。
皆が皆、謎に協力的で釣り道具をバケツリレーのように運んでいたのも印象に残っています。
地元は尺アジの好ポイントが多く点在していた為、アジングが人気でしたが、そのポイントでは尺アジを優位に超える40cmクラスも度々釣り上げられていました。
その日はアジングしてて偶然釣れた季節外れのサゴシのみでしたが、当時未熟な自分にとって、とても衝撃的だったのを覚えています。
味を覚えた自分は取り憑かれたようにそのポイントに通い始め、釣果も右肩上がりで軌道に乗り始めていました。
その絶好調の最中、ある事件が起こります。
その日、普段の要領で現地に行くと、わざとらしく板が釣り座側に引き抜かれており、渡れなくなっていました。
釣り座に10人ほど居たので帰りは渡らせてもらえば良いやという安易な気持ちで飛び越えますが、後で後悔する事になります。
途中で母親からの電話が掛かってきて用件は忘れましたが、とにかく早急に帰らなきゃいけなくなったので当たり前のように板を設置し、渡ろうとしたその時、怒号を浴びせられます。
その板の所有者からでした。後々考えると代表のオッサンはその日、不在で別の内輪で楽しむタイプの方が担当だったような気がします。
『コラ何をしよるんじゃ』怒号と共に一斉に全員の視線が自分に集まります。
他人の所有物を無断で使用しようとしたので当然の報いですが、予想外の出来事に身体が固まり頭が真っ白になりました。
動揺した自分は左手に竿、右手にクーラーボックスを抱え、例の間隔を飛び越えようとするのですが行きと帰りは異なり
このような形で飛び越えなきゃならなくて
その間、『ミスったら死ぬのかな』『海に落ちたら色んな人に迷惑掛かるのかな』など生きた心地はしませんでしたが、一か八かで柵に飛び付き、無事に成功したので今も健在でいます。
帰り際にアイツら海に落ちて全員◯ねやって思いましたけど、自業自得案件で痛い目見たので、それ以降、立入禁止区域に入ることは辞めました。
自分が入り浸ることを辞めてから数ヶ月後、その堤防でまた1人亡くなりました。
昔から『ご先祖様に守られてるね』と言われることが多々あり、あの一件がなければと思うとゾッとします。
今思い返すと、暗くなってからの異様な不気味さは常軌を逸してましたし、取り憑かれたように連日通っていたのは、もしかすると何か得体の知れないものに呼ばれていたのかもしれません。
反省と考察
①この事例に限らず、類は友を呼ぶと言いましょうか。グレーな場所にはマナーやルールを厭わないそれ相応の人間が集まります。その程度ならまだマシです。大都市の立禁エリアなんてどんな人が紛れているか知る由もないです。
②有料釣り場なんかも無料釣り場と比較して
アングラーのレベルや民度に優位差があると感じますし、金銭が一種のスクリーニングになってはいると個人的に思います。
③また、表向きはマナー遵守な方も内心行ってみたさを感じてる人は一定数居ると思います。思うのと実行するのは別物ですが、、、
付け加え、これまでの自分のように黙っているだけで実は…なんて人も長い人生を考えると案外居たりします。現役の方も、もしかすると…
④今更ながら、立入禁止区域の『危険だから入ってはいけない』の注意表記は本質的でないと個人的に思っています。コロナの公認欠席の事例に然り、クラスターを起こして休業要請を受ける等、一番の被害を被るのは学校側ですし権益に関わってきますからね。現に他の重病は公欠扱いなりませんし、運営に際して、生徒一人一人の命など知る由もありません。確か釣り人が海に落ちて行方不明になるとその間、周辺の海域で漁が出来なくなると聞いたことがあります。堤防より磯の方が危険ですし、訪れるアングラー層(堤防は親子連れの傾向)の関係もありますが、SOLAS条約然り、必ずしも『落水の危険があるから』というわけではありません。