【温泉】蔦温泉「蔦温泉旅館」(青森県十和田市)
今日ご紹介する温泉は、青森県十和田市にある蔦温泉の一軒宿「蔦温泉旅館」さん。
蔦温泉は、南八甲田の中腹、奥入瀬渓流の入口近くに佇む秘湯。文献上、久安3(1147)年には、既にこの地に湯治小屋が存在していたという。歴史ある温泉地だ。文豪・ 大町桂月がこよなく愛した温泉としても知られている。
2022年夏、こちらに1泊夕食付で訪問したときのお話だ。
外観
ブナの原生林に囲まれた山道を車でひたすら走り、「蔦温泉」に到着した。歴史を感じさせる、渋い佇まいの玄関が迎えてくれた。
館内
館内には、レトロお洒落な空間が広がっていた。昔ながらの和風建築を生かしながら、とても上手にリノベされているようだ。
客室
宿泊したのは、本館2階にある和室。廊下の両側に和室が並んでいる。
廊下とはふすまで隔てられている。廊下にスリッパを脱いで入室すると、なんとも昔懐かしい風情の和室が現れた。とても落ち着く。
古い部屋をそのまま使用しているので、トイレの設置もなく、防音も良くないが、昔ながらの温泉宿の雰囲気を味わうにはもってこいだった。
温泉
こちらの温泉は、「源泉湧き流し」という素晴らしい湯使いで有名だ。温度47度の源泉のすぐ真上に浴槽が設けられていて、湯船の底板から、つまり足元から、空気に触れない新鮮な源泉が湧き出すのだ。温度調節のために注がれる湧水もブナの森に蓄えられた天然水だ。
久安の湯
まず、「久安の湯」に入ってみた。
浴場に一歩足を踏み入れるや、思わず、溜息が漏れた。なんと美しい湯小屋だろう。青森ヒバをふんだんに使った美しい天井や壁。思わず見惚れてしまう。
この「久安の湯」は、男女入れ替え制のお風呂だ。昔は、混浴風呂だったとのこと。
泉響の湯
次に入ったのは、泉響の湯。こちらは、男女別の大浴場で、時間帯により男女入れ替え制となっている。
文豪・井上靖氏が来館した際、蔦温泉の雰囲気を「泉響颯颯」(泉の響きが風の吹くように聞こえてくる)と詠ったことから名づけられたという。やはり総ヒバ造りで、天井が高く開放的で、浴槽から梁までの高さが最頂部で12メートルもある。
これらのお風呂のほかにも、今回は利用していないが、貸切風呂もあった(別料金)。
これら2つのお風呂で体験した「源泉湧き流し」のお湯は、何とも贅沢だった。温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉。無色透明の、易しい肌触りのお湯だった。
美しい総ヒバ造りの清浄な空間のなかで、お湯に沈む。透明のお湯を通して、ブナの床板がよく見える。しばらくじっと見つめていると、あちらこちらの床板の隙間から、時折、ぷく・・・ぷく・・・と、小さな泡が浮き上がってくる。何だかとても愛おしくなって、時間を忘れて、ずっと見つめていた。頭をからっぽにし、心と身体を解放し、生まれたての温かいお湯に身をゆだねる。まさに至福のひとときだった。
食事
この日の宿泊プランは、夕食のみで朝食はなし、そして夕食の量が少なめのものにした。
こちらが夕食の写真(お酒は別料金)。シンプルだが、アラフィフ女性にはちょうど良い量だった。
なお、こちらのお宿には、私が泊まった鄙びた和室のほか、ベッドの部屋や、豪華な特別室もある。そして、豪華なお食事プランもあり、同行者や旅の目的によって部屋や食事を選べる。次は、大切な人と豪華プランで再訪したいなあ。
いいお湯でした。お世話になりました!
こちらのお宿の公式サイトはこちら。
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