【読書録】『温泉博士が教える最高の温泉』小林裕彦
今日ご紹介する本は、小林裕彦氏の『温泉博士が教える最高の温泉』。
この本は、温泉ガールである私が、最も頻繁に参照している愛読書のひとつだ。ひとことで言ってしまうと、そのタイトルのとおり、最高の温泉を紹介する、温泉紹介本だ。
著者の小林裕彦氏は、本業は、なんと、弁護士さんである。お忙しいであろう弁護士業のかたわら、全国2983か所(平成30年3月末現在)を巡られたそうだ。
最近、温泉紹介本は、巷に多く溢れている。しかし、本書は、多くの類書とは一線を画する。
温泉の真の姿に迫っており、奥が深い。たとえば、「温泉業界の深くて暗い闇」というくだりでは、温泉業界において、旅行客や湯治客には知らされない、業界の裏話などにも切り込んでいる。特に、「公正取引委員会の温泉に関する調査報告」によって、温泉業界の闇が明らかにされたことを示したくだりや、温泉法による情報開示についてのくだりは、法律家ならではのロジカルな説明が、とても分かりやすい。
そして、小林氏は、温泉についてのご自身の6つの主張を述べている。私は、この部分を読んで、心底共感した。ここで、そのエッセンスを是非引用させていただきたい。
このように、温泉について強い意見を持つ小林氏が、本書にて、特に素晴らしいと考える本物の源泉かけ流しの温泉を300湯、まさに「厳選」している。
特に「総合力の高い旅館30選+α」については、そのうちいくつかを既に訪問したことがあるが、本当に文字通り総合力が高く、納得のいく素晴らしいセレクションだった。この30選は、是非制覇してみたい。
そして、「ジャンル別オススメ温泉」へと続く。この、ジャンル別の切り口が、大変ユニークだ。日本の温泉がこのようにバラエティに富んでいるとは、驚きだ。
そして、最後に「心を鬼にして選んだ地域別おすすめ温泉200選」がリスト化されている。上記の「総合力の高い温泉」「ジャンル別温泉」から漏れた温泉から、厳選して200選に絞り込んだという。宿泊施設もあれば、日帰り施設もある。やはり、こちらに掲載されている温泉も、いくつか訪問済みのものがあるが、いずれも素晴らしいものばかりだった。
さらに大変重宝するのが、巻末の「温泉INDEX」だ。本書で紹介された300選の温泉が、北海道から鹿児島県まで、北から南へ、順にリスト化されている。
どこかに出張や用事、旅行などで遠出するときには、この本を見て、目的地付近に良い温泉はないか?とチェックするのが、もはや私の習慣になっている。
なお、このリストを眺めていると、都道府県によって、温泉の充実度に大きな偏りがあることがわかる。
たとえば、北海道、青森県、福島県、栃木県、群馬県、長野県、大分県、鹿児島県などには、たくさんの温泉がランクインしている。他方で、茨城県、埼玉県、福井県、滋賀県、広島県、香川県、徳島県、沖縄県からは、残念ながら、1件も紹介されていない。温泉というのは自然の恵みなので、偏りがあるのは仕方のないことだろう。
このように、私がこの本から得た情報は多く、どれも有益なものだった。さらに、小林氏の温泉体験談的なコラムも、なかなか面白く、読み物としても楽しませていただいた。
温泉を愛する皆さんには、買って損はない一冊だと断言する。
ご参考になれば幸いです!
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