【温泉】草津温泉「千代の湯」(群馬県草津町)
今日ご紹介する温泉は、日本を代表する温泉地である草津温泉(群馬県)の共同浴場、「千代の湯」。こちらで「伝統湯」という伝統的な入浴方法を体験させていただいたお話を中心に、ご紹介してみたい。
草津温泉には、19もの無料の共同浴場がある。これらは、地元の人々が管理する、地元の人々のための浴場だ。
そのうち、いくつかの共同浴場は、観光客にも開かれている。そのうちのひとつがこちら、「千代の湯」だ。草津温泉の中心地である湯畑から徒歩約1分の便利な場所にある。
こちらが、外観。雪で看板が半分隠れていたため見つけられず、一度、通り過ぎてしまった。
建物に近づいてみた。すると、入り口に、「伝統湯」についてのポスターが貼ってあった。
「伝統湯」とは、何か。
江戸時代から始まった伝統的な入浴方法で、昔はは「時間湯」と呼んでいたらしい。複数人で入浴し、隊長の命令で、全員が決まったお作法に従って一斉に同じように入浴するということだ。
ほほう、これは、面白そうだ。
観光客でも参加できるとのこと。これは、参加しないテはない。この日の「伝統湯」の開始時刻をチェックし、その時刻に、改めて再訪した。
係の男性に「伝統湯」を希望する旨を伝えた。このときの参加者は、地元の常連客であるシニア女性1名と私の2名のみであった。彼女は、何年間にもわたり、ほぼ毎日こちらで入浴しているらしく、係の男性とも顔なじみだった。
係の男性が、彼女に、隊長となって、初心者の私にお作法を教えてくれるよう頼んだ。彼女は、快く応じてくれた。
まずは、係の男性の指示に従い、常連女性とともに、着衣のまま、「伝統湯」専用の湯船のあるエリアに入る。こちらが、その湯船。あまりにも美しい佇まいだ。撮影の許可をいただいて、パチリ。
まずは、係の男性が、「湯もみ」を教えてくれるという。着衣のまま裸足になり、ズボンのすそを膝まで上げ、セーターの袖をまくっての参戦だ。「草津温泉」と書かれた「湯もみ板」をかついで、スタンバイする。
いざ、湯もみが始まった。おふたりが、「くさつよいとこ~♪」と、有名な草津節を歌ってくれた。本場で聞く地元の方による草津節は、なかなか味わい深い!
湯もみ板を、よっこらしょと持ち上げ、右に左へと回してみるが、これが、結構重い。それに、なかなかコツがつかめない。それでも、何度か繰り返しているうちに、それっぽくなってきた。係の男性が褒めてくださって、ますます調子に乗った。3人で、ひとしきり湯もみをした。重労働だった。
ひとしきり湯もみをした後は、いよいよ「伝統湯」のお作法に従って入浴する。係の男性が退出し、常連女性と私ふたりとなる。裸になり、タオル一枚で湯船に向かう。
ちなみに、彼女は、お聞きしたご年齢の割には、ものすごくお若い容姿だった。さすが草津温泉。その効能、おそるべし!
「では、始めようね。」「お願いします!」
常連女性のご指示に従って、まずは、足にお湯をかける。その後、頭からお湯をかぶる。この時点で、既に、めちゃくちゃ熱い!
一抹の不安を感じながら、常連女性のリードに従い、ゆっくりと湯船に身を沈める。
あ、熱い!
とにかく、熱い。そして、浴槽が、深い。あごの下までお湯に浸かった。全身が、急な刺激に驚いているようだ。このお湯に、3分間浸かるとのこと。3分間が、とても長く感じる。
その間、常連女性が、お作法に従って、1分後、2分後、30秒前、と、タイミングを見計らって、何度も、号令をかけた。私は、よく分からないまま、それに「オー!」と発して応じた。このかけ合いは、意識を失っていないか、お互いに確認するという意味があるようだ。
そして、お湯からあがる直前の10~5秒前には、シナリオによると、次のようなやりとりをすることになっていた。
(リーダー)「もうじきです」→(参加者)「ありがたい」
(リーダー)「いかがですか」→(参加者)「効きました」
しかし、その頃にはもうのぼせる寸前で、そういうセリフもすっかり忘れていた。
3分間が無事経過し、常連女性の号令でようやくお湯から上がる。自分の裸を眺めると、腕やお腹や太ももなど、体中の皮膚が真っ赤に変色していた。
そして、脱衣所に戻り、常連女性のアドバイスで、頭を下げて暫く休んだ。湯冷めしないように、バスタオルを肩からかけて、全身を覆う。おそらく、10分間くらいだろうか、ふたりでバスタオルにくるまり、沈黙し、瞑想状態になった。静かで落ち着いたひとときだった。身体は、ぽかぽかしている。3分間お湯に浸かっただけなのに、全く湯冷めしそうにない。
その後は、服を着て、常連女性と少しお喋りをした。それから、係の男性にお礼を言って、伝統湯エリアを後にした。おふたりには大変親切にしていただいて、とても感謝している。
なお、この「伝統湯」用の湯船に引いてあるお湯の、温泉分析書がこちら。源泉は、「熱の湯源泉」だ。泉質は、酸性・含硫黄ーアルミニウムー硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)。
その後、同じ建屋の別のドアから、一般客に開かれている、小さな湯船にも入ってみた。その湯船の写真がこちら(草津スカイランドホテルさんの温泉紹介サイトからお借りしました)。
先ほどの「伝統湯」の湯船と比べると、ずいぶん狭い。4人程度でいっぱいになりそうな、渋い湯船だ。蛇口からお湯がジャブジャブと投入されている。
おそるおそる浸かってみる。浴槽は、深い。体育座りの格好でお尻をつけて座ると、あご下までお湯がきた。お湯の温度自体はそこまで熱すぎはしないが、ピリピリ感を感じた。色はやや白濁しており、硫黄臭あり、酸っぱいレモン味。鄙びた感じの小屋の雰囲気のなか、しばし、湯治を楽しんだ。
なお、こちらの源泉は、「伝統湯」の湯船の「熱の湯源泉」とは異なり、「湯畑源泉」であった。泉質は、酸性・含硫黄ーアルミニウムー硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)。
地元の常連さんに導いていただきながら「伝統湯」を体験でき、「熱の湯源泉」と「湯畑源泉」のお湯に浸かることができて、とても素敵な旅の思い出となった。
素晴らしい施設、素晴らしいお湯でした。お世話になりました!
こちらの施設についての、草津温泉観光協会のサイトはこちら。
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