見出し画像

サザビーリーグのブランドを支えるDX推進室。ブランドの特性を最大限に活かすためのデジタル推進とは?

2022年にサザビーリーグらしいデジタル・チャネルシフトを実現するために立ち上がったDX推進室。サザビーリーグの各ブランドをデジタルの側面でサポートする部門として、EC、CRM、SNSの活用を強化し、ブランド価値の最大化を促進しています。記念すべきnote第一弾の本記事では、そんなDX推進室のミッションや業務内容をご紹介します。

ブランドの独自性を際立たせるサザビーリーグのDX推進室

──はじめに、それぞれの経歴と現在の担当業務を教えてください。

加藤 瑛文|DX推進室 CRM・EC支援課 課長)
2008年にサザビーリーグ エーアンドエスカンパニーに入社し、5年間勤務しました。その後、サザビーリーグの企業広報に転籍し、新規事業プロジェクトのリーダーを担当しました。そしてその後は、相川さんの誘いでDX推進室の前身にあたるWeb戦略部に異動し、HOUSE OF LOTUS(ハウスオブロータス)のEC運営やRon Herman(ロンハーマン)などのサイト立ち上げを支援しました。現在はCRM分析やEC運用支援を行い、サザビーリーグ内のアパレルやジュエリーブランドをサポートしつつ、CRM・EC支援課の課長を務めています。

アシュリー|DX推進室 デジタルコミュニケーション課 リーダー)
私は台湾の大学卒業後に日本に来て、アパレル企業で海外営業や越境ECとSNSの運営を担当し、海外のお客様からの注文を受けたりVMD(ビジュアルマーチャンダイザー)などを経験しました。その後、広告代理店に転職し、クライアント企業のSNS企画を担当しました。その後にSNSコンサル会社を経て、2022年にサザビーリーグに入社しました。現在は、サザビリーグ内のブランドのSNSマーケティングを支援しています。

相川慎太郎|執行役員 DX推進室 室長)
大学卒業後、国内外のブランドやセレクトアイテムを取り扱うファッション・アパレル企業に入社し、物流やシステム、店舗開発の管理部門を経て、2005年にZOZOTOWNの出店に参画しました。その後、直営オンラインストアの立ち上げやCRM、デジタルマーケティング部門の責任者を経て、2016年4月にサザビーリーグに入社しました。当時はWeb戦略部にて、サザビーリーグ内の一部のブランドの広告運用や自社ECサイト運営を中心とした、デジタルマーケティング支援を行っていました。それからブランド事業としては、2018年4月にサザビーリーグとして初となるEC特化型ブランドのARTIDA OUD(アルティーダ ウード)の立ち上げを指揮しました。2022年4月より現職の執行役員 DX推進室 室長を務めています。

──DX推進室が立ち上がった経緯と特徴について教えてください。

相川)
約4年前、DXという言葉が広がり始めた頃に、サザビリーグのDXをどう進めるかを議論するプロジェクトが立ち上がりました。その結果、単なる業務効率化やシステム化ではなく、ブランドの特性に合わせてデジタル活用の推進を行うべきだという結論に至りました。

私たちの部署の特徴は、サザビーリーグ内の各ブランドの独自性を尊重しながら、デジタルを最大限に活用したブランド支援を行っている点です。一般的なDX部門と異なり、業務改善ではなく、主にマーケティングDXを担当しています。

現在DX推進室には15名の正社員が所属しています。全員が小売のデジタルマーケティングに精通しており、特にファッションやライフスタイルブランドのデジタル領域を経験してきたメンバーがほとんどで、ブランド視点の専門サービスを提供できるという点が他の支援会社との大きな違いだと感じています。

──サザビーリーグのブランドは他社と比べてどんな点がユニークですか?

相川)
そうですね、これはサザビーリーグ全体で共通して言えることですが、それぞれのブランドの独自性を非常に大切にしている点が大きな特徴です。たとえば、一見合理的ではないようにも見えますが、物流や基幹システム、ECのカートシステムなどもブランドごとに異なっています。これが結果的にブランドの独自の世界観や顧客へのアプローチ方法に繋がっており、敢えて統一するという事は行っておりません。

ECの立ち上げからSNS運用まで。ブランド特性や成長段階に応じた支援を実施

──具体的な業務内容を掘り下げていきます。加藤さんが指揮するCRM・EC支援課ではどんな業務を行っていますか?

加藤)
私のチームでは、細かなレポート構築支援を含めると15ブランド以上を支援しており、支援期間が長期で支援領域も広いブランドだと現在は5ブランドを担当しています。

CRMでは、複数ブランドで統合したデータベースを構築し、BIツールを使って顧客や購買データの分析やレポート作成を行っています。ブランドによっては、マーケティングやEC部門に対し、分析結果からの傾向や対応策、KPI設計の支援を行うこともあります。

EC運用では、サイト構築やリプレイス、ベンダーマネジメント、広告運用支援を担当し、新規ブランドのEC立ち上げから運用体制の整備、KPI設定まで幅広くサポートしています。
また、ブランドとお客様とのコミュニケーションを強化するためのMAツール導入支援も行っています。例えば、ESTNATION(エストネーション)ではKARTE、agete(アガット)NOJESS(ノジェス)ではBrazeというMAツールを導入し、カスタマージャーニーの設計や既存シナリオの改善をサポートしてきました。

──アシュリーさんのSNSチームでも多くのブランドを支援していますよね。

アシュリー)
はい、デジタルコミュニケーション課では、Ron HermanAfternoon Teaagete など、15ブランドのSNSアカウント運用を支援しています。具体的には、戦略立案、コンテンツ企画、分析、キャンペーン企画、広告配信、インフルエンサーマーケティング、社内インフルエンサーの育成などを行っています。

SNS調査とAI活用で、ブランドの独自性をさらに深化させる

──ブランドごとに支援内容を変えているそうですね。

アシュリー)
そうですね、ブランドの特性や事業の成長フェーズによって、SNSの運営目的やキャンペーンの内容が異なります。例えば、去年デビューした小物・雑貨を中心に展開しているPIMENTÉ(ピモンテ)の場合、アカウントの開設時から整備、認知を広げるためのインフルエンサー施策、スタッフアカウントの育成などにも携わっています。

またRon Hermanではエンターテイメント要素の強い提案が難しいため、よりブランドの世界観に沿った表現方法になるよう提案内容を工夫しています。一方で、Afternoon Teaでは、スタッフの声や挨拶をコンテンツにする提案をしました。顔を出さなくてもテキストで紹介することで、ブランドの独自性を出すことができます。

加藤)
CRMやEC運用でも同様です。ブランドによって担当業務の経験やニーズが異なるため、それぞれに合わせたサポートを心がけています。例えば、CRM分析では、ブランドのニーズに合わせて、購買アイテムや価格などを軸にした商品分析や、顧客の購買頻度や会員ランクを軸にした顧客分析などと、カスタマイズしてレポートを提供しています。MAツールではシナリオ設計以前に、ツールの操作方法が習熟できていない場合もあるので、ツール特性や使用手順などを丁寧に説明し自走して利用できるまで伴走支援しています。

──社内でのデジタルノウハウの共有について、DX推進室が取り組んでいることはありますか?

相川)
Slackを使った定期的な共有会を開催しています。内容としては、各ブランドの事例紹介、最新ツールの情報、プラットフォームのアップデート情報、法規制の動向などを共有しています。これまではデジタルに関わるメンバーに限定していましたが、今後は全社的に広げていきたいと考えています。

加藤)
共有会に関しては、複数ジャンルのブランドを持つサザビーリーグならではの情報発信ができていると思います。成功事例だけでなく、「このツールを使ってみたけど、こういうデメリットがあった」といった、マイナスの部分も率直に共有できる場にしたいですね。

──最後に、チームとしての今後の展望を教えてください。

アシュリー)
デジタルコミュニケーション課としては、各ブランドでSNSを活用したアンケート調査を行い、社内とエンドユーザーのブランドイメージの認識ギャップを探りたいですね。また、AIを活用したコンテンツ作成や、チャットボットの導入にも積極的に挑戦していきたいと考えています。

さらに、動画プラットフォームの活用強化や、インフルエンサー・アンバサダーの育成にも力を入れたり、社内のブランド間コラボレーションも実験してみたいと考えています。やりたい事はたくさんあります!

加藤)
CRM・EC支援課としては、まず分析の幅を広げたいですね。例えば、GA4( Google Analytics 4)のデータとCRMデータを掛け合わせたアクセス分析や、店舗来店前のWeb閲覧行動分析、会員ランク別の行動分析などを行いたいと思っています。

外部データも活用して、より深い顧客理解につなげるのもいいと思います。例えば、天気情報や政府統計のデータを使って、気温の変化と購入アイテムの相関分析や、収入の高い世帯をターゲットにした分析なども考えています。

あとはチャットボットから得た接客履歴を利用した定性データ分析やAIを活用した分析、SNSデータや広告データの取り込みにも挑戦したいです。さらに、GA4の分析業務だけでなく、導入・初期設定から支援ができるよう、セミナーを開催して知識の共有を図りたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました!