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小杉湯となりを見学しました

ずっと憧れだった銭湯があります。

それは、高円寺の小杉湯。

もともと銭湯が好きだったので、都内のいろんな銭湯に浸かりに行ってました。その中で、ひときわ気になりながらも、勝手に敷居の高さを感じてしまって行けなかったのが、小杉湯さんでした。

SNSで見るたびに憧れは増していくばかり。でも、そんな憧れの場所に自分が身を置いていいのかしらというためらいが邪魔して、お伺いすることはずっと出来ずにいました。

「小杉湯となり」を運営される銭湯ぐらしの加藤優一さんの著書「銭湯から広げるまちづくり:小杉湯に学ぶ、場と人のつなぎ方」と丸善で出会った時は嬉しくて、嬉しくて……! めちゃくちゃ共感しながら読みふけり、何かあると取り出す心の灯台のような一冊になっています。


憧れをこじらせて幾星霜。でも、創作大賞に向けて銭湯を舞台にした小説を書き進めるうちに、「やっぱり小杉湯さんに行かないことには、何も始まらない!!!」と思い立ち、小杉湯となりさんに見学を申し込みました。

ご快諾いただき、見学当日はなんと加藤さんご本人のお話をお伺い出来ることに……!! メールを受け取った時には嬉しすぎて、部屋中を行ったり来たりしました。

でも、その前に、まずは小杉湯さんのお湯を楽しみたい!と思い、見学の何日か前にお風呂に入る日を作りました。


昭和8年から変わらない唐破風屋根
お風呂上がりに、あまおうのアイスキャンディーを!


憧れの小杉湯さんは、積み重ねてきた歴史とこれからの未来が混ざりあった優しい空間でした。足を運ぶ前はとっても緊張していたのですが、実際に身を置いてみると居心地の良さにすっかり寛ぎました。

私が行った時間帯は、ちょうど常連さん達で賑わっていました。アメニティも充実していて感激! 脱衣所の掲示板では、悩み事の相談を常連さん達が手紙でやり取りしていたり、福祉相談の「ふくふく通信」を読めたりして、地域の交流の場としての銭湯の可能性をあらためて感じました。

そして、高円寺の商店街が近いという環境からは、「まちに開かれた暮らし」という言葉に込められた、地に足のついた生活感覚を感じました。お風呂あがりに、角のお店でクラフトビール飲んだりするのも楽しそうだなあ……と思いながら、その日は帰途につきました。

そして、小杉湯となりさん見学の日。この日も、小杉湯さんでお風呂を浴びてから向かいました。

加藤優一さんはとても優しく、様々なお話をしてくださいました。印象的だったのは、「スモールステップを積み重ねてきた」というお話。小杉湯となりを作る時、最終的にみんなが出来ることを持ち寄って、試行錯誤を繰り返し、その積み重ねの上に現在の姿があると語ってくださいました。

お話をお伺いしている最中には、キッチンから美味しそうな匂いが。大きな塊肉がジュージューと焼かれています。小杉湯となりの会員さん向けのメニューだそうです。キッチンの冷蔵庫はみんなが使えるように開かれており、中には常連さんが持ち寄った食材が並んでいました。とても開かれた空間なんだな、と感じました。


加藤さんの著書「銭湯から広げるまちづくり:小杉湯に学ぶ、場と人のつなぎ方」
加藤さんが描いてくださいました!ありがとうございます!
小杉湯の裏側も見学させていただきました。この日は「じっこう風呂」でした。
コインランドリーの絵も新しく描かれたそうです。


小杉湯の「求心力」と、小杉湯となりの「遠心力」。このふたつが組み合わさって、高円寺という街に根差した新しいエネルギーの渦が生まれているのだと実感を深めることが出来ました。

その後、小杉湯さんの新しい取組みを肌で感じてみたいと思い、日をあらためて小杉湯原宿さんに伺いました。

東急プラザ原宿「ハラカド」の地下1階にある小杉湯原宿。原宿というお洒落スポット、そしてめちゃくちゃお洒落なビルに少々気後れしながらも、地下1階を目指します。

地下1階につくと、落ち着いた空間が広がっていました。

ああ、銭湯だ……!と安心しました

お風呂は、ミルク風呂、あつ風呂、水風呂の3種類。地上の喧騒が嘘のように、そこに広がるのは普段通りの銭湯の風景。この風景を作り上げるまでに、どれほどの苦労があったことでしょう。胸が熱くなりました。おかげさまで、落ち着いた時間を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございます。

牛乳やアイスも楽しめます。フルーツ牛乳をいただきました。

風呂上がり、どうして私はこんなに銭湯が好きなんだろうと考えました。心身のメンテナンスという面ももちろんあるけれど、言葉にならないさらりとしたコミュニケーションが心地良いからかもしれないという考えも浮かびました。

でも、それだけでは片付けられない思いも感じます。自分の思いが簡単にわからないから、わかりたくて、小説を書いているのかもしれないとも感じました。



創作大賞に応募中の小説「弦月湯からこんにちは」(全15話)は、現在第10話まで進みました。加藤さんを始め、小杉湯さん、小杉湯となりさん、銭湯ぐらしさんに触れる描写は、第11話まで続きます。

その後も、加藤さんの著書から学んだ考え方や、自分の実体験を基に構想した、弦月湯の再建案が作品の中で描かれていきます。すこしでも、この作品を通じて、銭湯にご恩返しを出来たらいいなと願います。


加藤さん、小杉湯となりの皆様、小杉湯の皆様、本当にありがとうございました!!

またお風呂を浴びに伺います!!









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