小説「スープ食堂パーチェの冒険」another story
◆プロローグ
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「壱子さん、ねーちゃん、知ってる? レインボーマートの向かいに、新しくスープ食堂がオープンしたんだよ」
出先での打ち合わせから帰ってきた暦くんが、興奮しながらチラシを手渡してくれた。外は寒かったのか、鼻が赤くなっている。
「スープ食堂って?」
「夜だけの営業で、週替わりでいろんなスープを出してくれるみたいなんだ。かぶのポタージュとか、緑のミネストローネとか、はまぐりのミネストローネとか」
「あら、美味しそう」
「よければ、今夜みんなで行ってみな