『疑惑』鑑賞

1982年　野村芳太郎監督作品

【私なりの帯】
白河球磨子は悪女だ。
自己中心的で思いやりのかけらもない。
だが、自分を全く飾らない。本当に全く。
なんとも痛快で最高だった。

【私なりの映画紹介】
桃井かおりさん演じる鬼塚球磨子は銀座でホステスをやっており、そこに来た客で資産家白河福太郎と結婚した。
ある日福太郎と球磨子は車ごと海に落ち、球磨子は泳いで生き延び、福太郎は溺死した。
保険金が3億かけられていたことから保険金目当ての殺人容疑で球磨子は逮捕。裁判にかけられることになった。
警察署でも裁判所でも弁護士相手にも言いたい放題の球磨子。メディアや世間は100%球磨子の犯行とみなすも球磨子は一貫して無罪を主張。
裁判に出てくる1人1人の個性と圧倒的な光を放つ白河球磨子に2時間ドキドキしっぱなしの映画である。

【感想・まとめ】
桃井かおりさんの魅力を浴びきって、自分の中に凝り固まった価値観や体裁をぶっ壊してくれる作品だった。本当におもしろかった。
白河球磨子の鉄で守られた肉体の中に触れたら一瞬で壊れてしまうものを感じて、人間を限りなくありのままにした姿は心惹かれるものがあった。女の女による女しかできない球磨子が最後はカッコよく見えてしまうのは、今の時代に窮屈しているからだと思った。

　　　　　　　　　　　　　　浅野紗幸