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『39』鑑賞

森田芳光監督作品『39』を鑑賞した。
この映画はこの刑法第39条を取り上げた作品で私には衝撃的な作品であった。

刑法第39条
1.心神喪失者の行為は、罰しない。
2.心身耗弱者の行為は、その刑を軽減する。

行為者に責任能力がない場合には、行為者が違法行為をしたことについて非難することが出来ず、責任が認められないがゆえに犯罪は成立しないといった規定である。

内容は書くよりも観て吸収するものなので書けないけれど、感じたことを書いてみた。

感想
この映画を面白いと言っていいのか、自分自身の道徳心を試されるように感じるほど内容は惨いものであった。ただ、エンターテイメントとしてこの映画をスクリーンで観たらその日は眠ることができないと思う。それくらいすごい作品であることは間違いない。

作品を観ている間幾度も考えた。
もし自分の大切な人が殺され、その犯人が心神喪失者であることを理由に罪に問われなかったらどうなるのか。
私はどうなってしまうのだろうか。きっと今の状態を保つなんて到底できない。罪を犯すかもしれないとも思った。それでもこの法律は存在していて、人を裁くことは難しいと感じた。
映画に出てくる俳優はカメラが回っている間、完全に心神喪失者であった。それくらい演技がすごかった。俳優としてこの嘘が見つからない演技をしたいと思うのと同時に人間の能力は計り知れないと怖くなった。

人間が理性的であることを象徴するかのように嘘をつき、騙し騙される。
世の中には善い人も悪い人もいて、明確にその規定があるわけでもない。
刑法第39条はものごとの善悪がつかない人は責任能力がないから非難できないということに基づいているが、理性的判断ができない時点で人間界で同じ空気を吸わせてはいけないのではないかと偏った考えもよぎってしまった。
私は善くありたいのに悪い人みたい。
人間ってすごくて面白くて、怖い。

最近韓国ドラマばかり観ていて、久しぶりに日本の映画を観たけれど、めちゃくちゃ面白いものがたくさんあることを知った。
この映画は1999年の作品で自分が生まれる前の作品。もっと昔の作品を観て楽しんでいきたい。

              浅野紗幸

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