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摂食障害の原因は母子関係?〜時代と共に変化する摂食障害〜

拒食症や摂食障害は母子関係、家庭環境と関連があると言われています。

簡単に言えば、親から愛情をもらえたかの有無、もう少し付け加えるなら言うなら、母親から適切な愛情をもらえたかの有無です。

私が過食嘔吐真っ只中だった頃より一世代前は(今から40年以上前辺り)、摂食障害というと母子関係に問題があるといった書籍ばかりで、

拒食症という病気は、比較的裕福な家庭で育った高学歴のお嬢様に見られる病気と言われていたり、親は過保護か放任と言われるような子育てをしているという、定説のようなものがありました。

過保護の場合、「良い子でいなさい」「この大学に入りなさい」「あなたはこうあるべき」と

親は子のためといって子を監視して操縦して、親の理想を押し付け、

子どもは親の期待に応えようと、本来の自分、あれをやりたいこうしたいを押し込めてしまう。

放任の場合は、愛情の代わりにお金を渡して何でも解決をはかったり、子どもに関心を示さないネグレクトといった感じでしょう。

摂食障害になるような子は非行に走るようなパターンではなく、親が求める「良い子」であろうとして「本当にあなたは文句ひとつ言わない良い子ね」と言われるように育ちます。

両者とも「適切な愛情をもらえなかった」という点では共通しているようです。

しかしこれを、
今の社会・時代背景に当てはめると、多少無理があるなと感じます。

拒食症や摂食障害の原因や症状も、時代によって変化していくと思っています。

SNSの普及によって美容のこと、痩せること、ダイエットに関わる情報が簡単に手に入れられることや、

痩せることやダイエットすることへの取り組み方も多種多様で、ダイエット方法も選びやすくなったことなどで、

ダイエットは趣味とか、痩せることを意識するのは常識のような感じで取り組むまでのハードルも高くなくなりました。

昔より、誰でもダイエットに取り組みやすい環境になったとも考えられます。

ダイエットの入口が大きくなれば、当然、拒食症が増えると考えられます。

そこに、家庭環境・母子関係・裕福だとか学歴・性別は関係しないと思うのです。

適切な愛情というのも難しいと思いませんか?

愛情って、はかる尺度がないから、例えばBMI値のように数字を用いて、
この数字からは不足、ここからここまでは適正、この数字からは過剰
という感じで判断することができません。

愛情をはかる尺度、愛情の過不足が当人の感じ方でしかないのですから、適切な愛情が与えられたかなんてことわかりません。

幼い頃から近所で評判の良い子が、成人してから問題を起こすと、甘やかされて育てたからだと親が避難されて「歪んだ愛情・愛情の欠如・過剰な愛情」が、事件に至る原因のように扱われます。

暴れまくって他人様にたくさん迷惑かけた反抗期には親がちゃんと見てやらないからだと避難されるけど、
社会に出て真面目に働くようになったりすると、子どもを信じて育てたのね、なんて翻ったりします。

愛情を与えた与えなかったかの答え合わせが、「後付け要素」や「結果論」でしかないように感じてしまいます。

今は家庭の形が多様化しています。

多くの家庭が共働き
シングルマザーも増えている
文化の異なる国際結婚も増えている
一般的な夫婦の立場が逆転している家庭「お父さんが家のことをやって、お母さんが稼いでくる」も昔より増えているでしょう。

そんな多様化した家庭で、愛情の過不足をはかることは難しいと思いますし、

昔は思春期特有の病気とされていた拒食症やも、現代では年齢関係なく発症しているため、

30代40代で拒食症になった原因を「そもそも母親から適切な愛情を与えてもらえなかった」「そもそも家庭環境に問題があった」と言うにはミスマッチの時代のようにも思えます。

私は痩せることで「私を見て!」とアピールして、母の注意関心を引くことができました。

婦人科に連れて行ってもらえることで、はじめて母の愛を獲得できたように感じました。

ダイエットは停滞したけど、母と二人で電車に乗って、排卵誘発注射を打ちに婦人科に行くことが嬉しくて仕方ありませんでした。

摂食障害になった私は、「幼い頃に母から愛情をもらえなかった」かもしれませんが、

母や家族を恨んで、母からの愛に執着したとしても、摂食障害が治るわけではありませんでした。

過去に遡ることなんてできない、どうにもできない原因は手放して、
今の自分と向き合うことでしか、結局のところ摂食障害は克服できませんでした。

社会・時代背景によって捉えられる事象は異なります。
多くの病気が単体ではなく複数の要因が重なることで発症するように、拒食症に至る原因も、愛情1つではないわけです。

現代ではダイエットに関する情報が増えて、多くの人が手軽にダイエットできるようになった社会・時代背景の原因の方がむしろ、影響力は大だと思っています。

過去を恨んでも過去は変えられない
社会・時代背景を変えることはできない

自分がこうなったこれらの原因をどこかで切り離して、前に進む強さを身につけることが、今の時代に合った摂食障害の克服方法じゃないかと思っています。





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