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[小児科医ママが解説] 不登校で「受診する」と、良いこと3つ。


入学準備で大事なのって、「不登校に対する心構え」じゃない?
っていうnoteを書きました。

では実際に不登校になったとき、どんな対応が正解なのか。

そもそも正解のない問いではありますが、
今回は一小児科医として、

不登校で「受診をする」と、どんな良いことがあるのか?

を紹介します。

※ 末尾でも触れていますが、こうした対応をしてくれるかどうかは、医療機関・医師によってケースバイケースです。実際に受診する場合は、あらかじめ医療機関に直接確認されることをおすすめします。

1.かくれた病気がないか、チェックできる。


不登校のお子さんは、体の症状を訴えることも少なくありません。

だるい
頭が痛い
気持ち悪い
めまいがする etc…

いわゆる「不定愁訴(ふていしゅうそ)」とまとめられてしまうような症状ですが、
医師がお子さんのこういう症状を聞いたとき、まず疑うべきは

起立性調節障害
(きりつせい ちょうせつ しょうがい)

です。

どんな病気か?というのは、
日本小児心身医学会のHPを見ていただきたいのですが、

ざっくりいうと

●体のいろんな機能を調節する「自律神経」がうまく働かない
●中学生の10人に1人は当てはまる
●「特別な病気」というよりは「体質」に近いイメージ

みたいな感じです。

しかも朝や午前中に症状が目立ちやすいので、

また「だるい」とか言って、なまけてんじゃないの?
夕方とか夜は、あんた元気じゃない!

みたいに、「なまけ病」と勘違いされやすいんですね。

起立性調節障害の治療をしたら、
症状が軽くなって、学校に行きやすくなった!

というケースもあります。

もちろん他にも、甲状腺や脳の病気など、
大変な病気が隠れていないかというチェックをすることもあります。

2.診断書で、学校に理解してもらいやすくなることも。


上記のように「起立性調節障害」だろうと判断された場合に、
医師が診断書を出すこともできます。

私が見てきたケースで多かったのは、

「起立性調節障害」の診断書を出したら、
学校の先生が、前より理解してくれるようになった。

というものです。

学校の先生も、学校を休んでいる生徒さんは、気になる存在。
そんな中、

学校が嫌というだけではなく、
体調が本当にしんどいから、学校に来るのが難しいんだということ。

ちゃんと医師にも相談しているんだということ。

これらが伝わるのは、先生にとっても安心材料になるんだと思います。

このような診断書を書いてくれるかどうかは、正直、医師の裁量にもよるのですが、

学校の先生にもちゃんと伝えたい、という事情を話せば、
書いてくれる医師がほとんどだと思います。

なお医療機関によって診断書の料金が異なりますので、各自でご確認ください。

3.「親のはけぐち」ができる


不登校のとき、お子さんはもちろんですが、
親御さんもしんどいんですよね。

別に不登校に限らないのですが、
親も様々なコミュニティを持っているほうが、心のバランスが保ちやすいです。

子どものことを相談できるのが、家族だけ、学校の先生だけ…
だと、やっぱり行き詰まったり、人間だから相性ってもんもあります。

そんなとき、あえて第三者の立場である「医師」が入ることで、
親御さんの心のはけぐちとなり、家族全体が安定するケースが多くあります。

というか、不登校で病院に相談くださるケースのほとんどは、
お子さんに対して特別な治療をしている…のではなく、

だいたいは「親御さんの悩みや不安を、聞かせていただく」という対応がほとんどです。

病院によっては、医師だけではなく、心理士が対応してくれることもあります。


いかがでしょうか。

とはいえ、

忙しい小児科外来に「不登校」で受診しても、
軽くあしらわれるだけでは…

という心配もあると思います。

おっしゃるとおりで、正直、
こういう対応をしてくれる医療機関か医師かは、
かなりケースバイケースです。

どんな医療機関なら、受け入れてくれるか。
子どもの心の診療機関マップ」は一つの参考になるでしょう。

上記はあくまで一部なので、他にももちろんあります。

かかりつけの先生に「不登校のことで相談したいが、どこか病院を紹介してもらえないか」と聞いてみるのも良いでしょう。

年々、増えている不登校。

ネットには玉石混交の情報があふれていますが、
今後も医学的・発達心理学的に正しい情報をお伝えしていければと思います。


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