昭和38年の資料の自由闊達な気風
資料2冊です。
一冊は、2008年発行の『原色小倉百人一首』文英堂。
この頃から古典をと思ってはいたらしく、積読をしていた本です。
読まないままの可能性を見て、手ごろな560円(税込)です。
安いですがオールカラーで、ポイントを抑えての解説と歌に詠まれた風景などの写真はイメージがしやすくて、お買い得でした。
もう一冊は、東京にいった時にふらりと入った古本屋の店先でワゴンセールをしていたもの。
昭和38年12月初版の『文法詳解百人一首精釈』加藤中道館。
定価160円。手元の本は昭和39年9月に再販されているので、多く読まれていたのでしょう。出版社である中道館の古典精釈シリーズの一冊で、「大学・高等学校に学ぶ諸君の学習参考用として執筆したものでありますが、それ以外の、古典に関心をもたれる方方の読解力を養うのにも役立つよう配慮し、小倉百人一首の全歌に注解を加えたものであります。」と見開きに書いてあります。
目的が違うのでこの2冊を比べることはできません。
それにしても古本の熱量がすごい。
いい歌はいい、技巧に流れ過ぎているならその通りにすっぱりと書かれていて、胸がすきます。
真正面から作品と向き合って、その時の解釈をはっきりと打ち出しているのが心地よい。使われている言葉、文脈、その時代のその時にしか残せないものってあって、ほんとうに味わい深い。この文章から伝わってくる大人の姿勢に感化され、きっと熱い若者が生まれたことでしょう。
隷従ということは、文芸の世界でもありますよねえ。
うっかりすると斬新な技巧に衝撃を受けて真似て、そのうちにその技巧を使っていればいい歌と思ってしまい(いいわねえ~)とか褒め合って、斬新さがいつの間にかCODE化してしまうことには気を付けないとです。
火花が散るようなやりとりに目が開かれます。
そうそう、この歌いいよね~
だから古典ってつまんなかったんだなあ
今だから味わえるようになったことと、高校時代の古典のテストのひどい点数を思い出しながら、読み進めています。
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