甘やかな顔と音
春なのか冬なのかわからない。
暑かったり寒かったりするから、今は秋で次に来る季節が冬だと勘違いしてしまう瞬間もある。
この家に引っ越してきたのは12月で、ここで過ごす初めての季節の変わり目だ。
まだこの家に慣れないところもあるし、慣れてきて自分の居場所になってきた感じもあるけど、まだ前の家のような安らげる場所にはなっていなくて、安らげる場所になるにはもっと時間の積み重ねが必要で、思い出や思い入れが必要で、そうすると全ての季節をこの家で経験しない限り安らげる場所にならない気もする。
1年も経たないうちに引っ越す人も沢山いるだろうに。
気が長い話だ。
今日読んだ本。
誰かの寝顔を見ている短歌が好きだ。
短歌は瞬間の煌めきを表すのにぴったりのツールだというのがあるからかもしれない。
同じようなことが書いたあったとしてもエッセイでも小説でもなく短歌がいい。
最近誰かの寝顔を見ていない寝息を聞いていない。
電車や喫茶店で寝てる見知らぬ誰かのそれではなくて、もっと身近な誰かのそれ。
そんな誰かの寝顔や寝息って今となっては貴重だなぁと思う。学生時代は授業中や講義の最中に居眠りとかあったかもしれないけど。
講義の最中に隣の席からすーすーといかにも気持ちよさそうな寝息が聞こえてきたこと、友達2人と宮島へ行った帰りに乗った電車で両端に座った2人が寝初めて2人とも肩にもたれてきたこと、神保町の喫茶店で「ちょっと眠いから寝る」と向かいの席でいきなり寝始めたこと。
どれも思い返すと甘やかな気持ちになれる。
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