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わたしが見たかった世界

わたしは、この残された限りある時間の中で、暖かく優しい光が灯す方へと歩んでゆく旅をするのだろう。


そうして旅路を辿りながら、この世にある、美しくて、でも姿として捉えきれない余韻のようなものを、そっと手のひらで掬ってあなたに差し出せれば、と願う。

たとえそこにあるものが、冷たく暗い悲しみだったとしても、きっと自分の中にある鮮やかな彩りを教えてくれるはずだから。


これまで幾度もの悲しみに出会い、深く闇に落ちていった記憶は、誰よりもわたし自身がその中にある輝きを知るためのものだったかもしれない。

大きな舞台に立つ仮面を被った操り人形ではなく、世界の片隅で、たったひとりきりでもいいから、自分のことばで話し、心のままに舞うわたしになるために。

きっとそれが、あのころのわたしが見たかった世界。


だからわたしは、あのころのわたしのために、まるで絵を描くように、唄の一節のように、ただ生きていくだけでは通り過ぎてしまいそうな一瞬を、大切に切り取りながら、蒼く深い海を泳ぐように進んでゆくのだろう。



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