(感想)分かれて、歩いていく
(以下、筆者Xより転記)
映画『HAPPYEND』鑑賞。舞台は近未来。高校生達の悪ふざけを発端として校内に監視システムが導入される。この出来事から社会の問題について考え始めたコウは、親友のユウタとすれ違っていく。
若者の持つ衝動性と瞬発力、それらがあるがゆえに帯びてしまう暴力性が漂っているような映像は(絵として暴力的な描写はない)、私には重さのあるものだと感じられた。それは映画が描きたい対象の重さでもあるのだと思う。
社会問題が題材の一つであり、デモの場面などもあるため「政治的」だとの感想も見たが、そもそも、自分自身を社会の中でどこかに位置付けて考えようとすると、政治的になるのではないだろうか。
何かを考えて自分なりの答えを出そうとした時に、誰かとの相違は避けられず、それは親しかった人との間でも起こる。親しかったからこそ、その違いが際立つ。それでも考えざるをえない問題はあると思う。その悲しみと戸惑いを描いた作品だと私は思う。
ラストシーンの意味を考える。望むものも、抵抗の仕方も違うから、同じ道を歩いてはいけないのだろうか。歩道橋という不安定な場所で行く先を決めなければならない、彼らの不安をもらったような気持ちになった。
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