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あらこんなところに歯ブラシが

このタイトルの元ネタ、わからない人が多いのではないだろうか。調べたところ「あらこんなところに牛肉が」と歌うハウス食品「ハッシュドビーフ」のCMは1991年に放映されたらしい。33年前、か……。

遠い目になってしまったのはともかく、歯ブラシが思いがけないところにあったのである。どこかと言えば、プリンターの上だ。歯ブラシだけぽんと置いてあったわけではなく、プリンターの上に山と積まれていた書類の中から発見された。

ここでツッコミが入ったであろうことは承知している。なぜプリンターの上に書類を山積みにしていたのだ。プリンターが使えないではないか。というか紙とはいえ重さによってはプリンターが危ない。

私も、最初からプリンターの上に紙を山積みにしようと思っていたわけではないのだ。ふと1枚置いた書類、全てはそこから始まった。1枚が許されるなら2枚も、2枚が許されるなら3枚もと、紙は増え続けた。結果的に歯ブラシが紛れ込めるほどの地層が作られていたわけであるから、見るからに危ないのだが、ちょっとずつ動かせば移動していることに気付かないというあの理屈だ、それが働いた。

プリンターの上に物が載っていても、紙がカセットに入っていれば印刷はできる。よって、ちょっとした印刷は問題なくできていたため、ここまで積んでしまったわけだ。だが、手差しでプリントしたい時や、スキャナとして使いたい時には、上部の蓋を開けなければいけない。そう、書類を積んだままでは使えなくなる事態がここに来て起きた。それで私は、重い腰を上げて書類をどかすに至り、その過程で歯ブラシを発見し、流石に気まずく思ったという次第である。書類山積みも気まずいが、この歯ブラシいつ買ったよ?

さて、書類をとりあえずベッドの上に移し、プリンターは使えるようになった。はずだった。印刷してみたところ、なぜかマゼンタの色が出ていない。インクタンクは目視で確認できる仕様なのだが、他のインクと同じように入っている。インクがなくなっているわけではない。

もしかして:プリンター上部が重くなったため本体のどこかに負担がかかりマゼンタインクがうまく出力されなくなっている、のか? 

そこからはノズルチェックパターン印刷、クリーニング、強力クリーニング、ヘッド位置調整、インクシステムリフレッシュと、プリンターツールからできることは全て試した。そのかいあってか、何度目かのノズルチェックパターン印刷で、ようやく正常な印刷ができることが確認された。

プリンター、私が思うよりもずっと繊細だったんだね。気付かなくてごめんよ。というか精密機器に物を積んではいけないのはあたりまえである。今後は紙1枚たりとも置いてやるものか。そう誓った私の背後では、プリンターから避けた行き場のない書類たちが、悲しく横たわっているのであった。


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