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VISONはローカル食のテーマパーク (熟成下書き放出企画①)

注:この記事は2023年に下書きフォルダに入れていた記事です

note公式の記事を読んでいたら、クリエイター(noteで発信している人)への提案として、「下書きフォルダに溜まっている記事を公開してみては?」というのがあったので、さっそくフォルダを覗いてみた。
すると、ちょうど2年前、2023年のお正月に訪れたVISONについて1,600字以上書いたものがあったので、文末をちょこっといじって公開してみる。
文末以外は触っていないので、もしかしたら、すでに入れ替わっている店舗もあるかもしれない。VISONに行く方はサイトなどでご確認を。

2023年元旦、VISONに行った

2023年の元日そうそう、三重県多気町の「VISON」に足を伸ばした。三重県には土地勘がない私(三重は夫の地元)。「色々な食べものとお風呂がある大きな施設」というざっくりした情報と数分のネット検索だけをもとに現地へ。
行ってみると、そのスケールたるや予想をはるかに上回り、「東京ドーム24個分」ともはや実感できない広さだった。

三重県多気町に日本最大級の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」が7月20日開業した。「美しい村」=「美村」がその名の由来で、東京ドーム24個分(約119ha)の敷地に、食と健康をテーマとした専門性を持つ施設を軸に、日本の各地方が抱える若い世代の大都市への流出や、地域経済の活性化に焦点を当て、未来に残る商業リゾート施設を目指す。

japan-architects.com

それもそのはず日本最大級の商業リゾート施設だという。イメージを持たずに行ったので、結果的に4時間ではすべての店舗を見ることはできなかった。

「VISON」とは

VISONがどんな施設なのか、オフィシャルな説明はサイトやこちらのエリアマップを見ていただきたい。

物販、飲食、宿泊をメインに、いくつかのエリアから構成されているのだが、大枠で言うと

  • 三重を中心とした地域食材(松阪牛、伊勢湾の海鮮など)や加工品を扱うマルシェと購入した食材を食べられるバーベキュースペース

  • 日本古来の発酵だしをテーマにしたパビリオン兼販売店

  • カジュアルから高級路線まで多様なレストラン

  • スウィーツ店

  • D&Department、ミナ ペルホネンなどのライフスタイル雑貨店舗

  • 三重発祥の「本草学」(ほんぞうがく)に基づく入浴施設

  • リゾートホテル

  • その他

といったところ。

柱の左側に松阪牛や海鮮を販売する店舗が並ぶ

規模の大きさもさることながら、スーパーや百貨店と大きく違うのは、方向性としては、わざわざここまで足を運んでもらって、この地域の食を楽しむことがテーマになっていること。
また、発酵やだしという日本の食文化に光を当てていて、さらに植物や動物、好物の薬効を研究する「本草学」――日本では三重が発祥とも言われる学問――に基づいた薬湯に入れる日帰り入浴施設もある。

ローカルに光を当てる

世界の中での日本というローカルな地域の食や生活文化をテーマにしたエリア(「和-VISON」)があり、さらに「マルシェ-VISON」では、日本の中でも三重の食材や食文化という地域資源を扱い、地域の生産者も出店している。
このあたりのフォーカスの仕方が、この10年、もう少し細かく言うと東日本大震災の後くらいから少しずつ変わってきた日本人の食をめぐる消費行動を的確に捉えた施設だと感じる所以だと思う。

大規模流通以外の選択肢

日本の一次産業では、農協や漁協を通じて統一した規格の生産物を大量に流通させる「系統出荷」が長年主流だったし、今も流通量や金額で見ると、系統出荷が大半だろう。
一方で、各地の「食べる通信」やポケットマルシェ食べチョク のように、全国の生産者とつながりたいという欲求を持つ人はおそらく増えてきているし、そういう大きな流れの中で「野菜を作りたい」「味噌を作りたい」、さらに先を行って「自分で食べる肉は自分で獲ってきたい」という人たちもいる。
彼らの一部はすでに地方に移住し、自分の手で食や暮らしを創り出そうとしている。

資本主義とローカル

既存の大規模流通や輸入品に依存した食に違和感を感じる層の受け皿として機能するのが、ポケマルであり食べチョクであり、そしてVISONのようなローカルな食をテーマとした空間ではないだろうか。
しかし、皮肉なことに(と言っても差し支えないと思うが)、複数の企業で進めるVISONのプロジェクトのうち、施設開発・運営を担うのはイオンタウンだという。
私自身は、かつて新聞記者時代は、イオン、というか「イオン的なもの」にアンチの論陣を張ってきた。しかし、釜石という過疎が進む土地で、日々、イオンの恩恵にどっぷりと預かって生きている。今となっては、ジムもイオン内、眼科もイオン内で。生活のインフラとなっている。

注:ここからは2025年1月の補足

下書きはここまで。
資本主義とローカルというテーマについて考えがまとまらず、公開しないままになっていたこの記事は、2年たった今も、どう締めくくってよいか分からない。
釜石のイオンのテナントは、撤退と新規出店のサイクルが回ってはいるものの、空いている区画も目につく。
一度、地方にイオンのような大規模店舗や誘致企業が立地すると、地域はそれありきの構造になる。とはいえ、釜石も誘致企業があるからこそ、そこで働く人たちが収入を確保し住み続けられるという効果は間違いなくある。

経済合理性を追求する大手資本と地域というテーマは、2025年にはさらに大きく思い課題になるだろう。釜石線を始めとする鉄道などのインフラ、製造業の誘致企業、イオンに代表される流通業。
テーマがテーマだけに自分1人にできることはとてつもなく小さいが、考えたい。


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