農福連携にパーパス経営が必要な理由
一般社団法人クロスオーバー発足から1年を迎えて、様々なマッチングをしていると、農福連携の壁を3つほど感じることがあります。
1.農業者の合理的配慮の不足によるアンマッチ
2.地域特性によるバランスを取ることの難しさ
3.障がい者事業所の人材不足
特定非営利活動法人セルプセンターからの仕事も含めれば、農業者と障がい者事業所のマッチングは、10年以上になりました。
近頃は、農業者がお気に入りの特定の事業所を見つけて、業務委託できるようになっています。
しかし一方、特定の農業者の仕事を事業所が受けてくれないという事象も起きています。
その農園の名前を言った途端、断られるのです。
農業者が、いわゆる合理的配慮がなさすぎるのが主な原因ですが、こうなって来ると、小康状態が続き融合(Cross over)どころではありません。
コーディネーターが入り、農業者が変われるかという問題です。
2番目の壁は地域特性です。
上手くマッチングできる地域とできない地域が明らかにあります。
長野県は第二次世界大戦の折、大企業が疎開していたこともあり、その周りに中小、零細の製造業の企業が多くありました。
その名残りで、今も製造業が多く工業団地は大体どこの市町村も持っています。
地域にどのような産業があって、事業所の側にはどのような企業があって、どのような農業者がいるのか知ることは、地域社会の勉強にもなります。
農福連携ではこれに加え、需要が殆どなくなる冬期の仕事の確保等、年間を通じて事業所で仕事内容のバランスを取る必要が出てきます。
農業人口が減り高齢化が進む中、どのように農業を進めていくのか、地域全体で考えることが重要です。
3つ目は、産業全体に共通している人材不足です。
事業所では、どのような職員と利用者がいるのかも鑑み、その人材によって作業を受けるかどうかを決めていると思います。
農作業を施設外就労で行う場合、利用者の特性はもちろんですが、職員のリーダーシップが重要です。
農業者に言われた通りに仕上げられるよう、利用者と一緒に作業しながら軌道修正し、臨機応変に作業しなければなりません。
給料が上がらないせいなのか原因は判りませんが、このようなが職員が減っているような気もします。
人材不足の社会では、サラリーマンも副業をするのが当たり前の時代になるかもしれません。
このようなことから、農福連携の社会的な存在意義(何のために存在するのか)を明文化し、定めた意義に従い、個々が違った方向からアプローチすることが重要です。
連携である限り立場は違うが、目指す社会は同じというパーパス経営が必要なのかもしれません。