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「アヒンサー」とは?見えない暴力に気づくことで変わる人間関係
こんにちは!ヨガインストラクター吉田紗弥です!
もう2月も終わり3月に入りましたね!
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回もヨガ哲学のお話を進めてまいります。
今から約2000年前に成立されたとされる、
ヨガの根本経典、
「ヨーガ・スートラ」には
私たちの人生をよりよくしていくための
賢者の教えが記されています。
その中から一説ご紹介します!
アヒンサーに徹した者の側では全ての敵対が止む。
アヒンサーの「ア」は否定を表す接頭語、
「ヒンサー」は「暴力」という意味になり、
この一説は「非暴力」を実践していく大切さを
教えてくれています。
ヨガでは、思い、言葉、そして行動を
一致させていくことが大切だと
教えてくれているのですが、
まずは、物理的な暴力、
つまり殴ったり、蹴ったりするような
暴力があります。
この暴力はみんな、行わないと思います。
しかし、思いの暴力、言葉の暴力は
どうでしょうか?
思いの暴力、つまりイライラしたり、
ムカムカして
それがコントロールできなくなった時
それは必ず言葉の暴力へと発展していきます。
例えば、忙しさでイライラし、
余裕のなさから友人や家族と口論になったとき、
「なんでそんなこともできないの?」と
つい強い言葉を使ってしまい、
相手を傷つけるつもりはなかったのに、
後から後悔してしまったことや、
その相手と気まずくなったりしてしまったことなどないでしょうか?
一旦口に出してしまった
言葉は取り消せません。
こういうことが多くなってくると
人間関係が悪化し、
人生をより良く過ごしていくことが
難しくなってきます。
ですので、まずは根本である、
思いの暴力に気づくことが大事
になってきます。
その思いに気づくことができれば、
自分にも優しくすることができますね。
「そういう日もあるよね、うまくいかない時の方が多いよね。」
と自分で自分を褒めたり、大事にすることで
余裕も生まれてくるはずです。
そして余裕を持つことで
他人にも優しくなれるはずなのです。
ですので、
私たちは普段から
目に見えない暴力にも気づき、
少しずつ非暴力を実践していくことが、
より良い人間関係を築く第一歩になるはずなのです。
ここから私のお話になります。
私が正社員として
ホテルのレストランで働いていた時のことです。
ある日の出勤日。
朝からの勤務で
開店に向けて急いで準備していました。
そこで1本の電話が鳴り、
女性のお客様からクレームの電話が。
話を聞くと、昨日利用されたお客様で
味が口に合わなかったと。
さらにシェフの腕が悪い、
素材が新鮮ではない、と。
つらつらと
お話をされ、
気づけば30分以上経ってしまったのです!
しかし、最初は「申し訳ありません」と
真摯に受け止めていたものの、
次第に私の中の黒い気持ちが出始め、
「私のミスじゃないし」
「食材はいつもフレッシュなものを仕入れているし、シェフだって何年も修行して毎日心を込めて作ってるのに」
と子供っぽいプライドが芽生えてきたのです。
30分以上電話で話をしていると、
周りのスタッフも
私を見ながら
よそよそしい顔を私に向け、
かわいそうな顔をし、
憐れんでいるのが目に入ります。
そしてお客様が電話を終えた後、
気持ちがおさまらず、
真っ暗なプライドをぶつけるように
出勤してきた先輩に愚痴を連発。
「それをちょっと聞いてくださいよ!!!!
30分も電話でクレームが!」
とつらつらと自分の黒くなった心を
ぶちまけると、
冷静な先輩は
「あー
そういう人もいるよね〜
よくあるよくある〜
・・それでさー・・・」
と話を逸らすように別の話題へ・・。
なんだか腑に落ちず、
自分の心のやりどころがないわ!
と思っていると
営業前のブリーフィングでその先輩が
コーヒーを出してくれたのです。
落ち着いてコーヒーを飲んでいると、
ふと悪口、不満を言葉に出して、
共感を得ようと待っていた自分。
あまり愚痴っぽくなると
いやな気分になる人もいるし、
自分もモヤモヤして
その時間を振り返っている時間に
なっているのでは・・
と気づいたのです。
もしかすると、
言葉を選んで、相談するという感じにすれば
悪口というより今後の前進にもなったかも・・。
と改めて反省したのです。
そしてその日、
たまたま
いつもいらっしゃる
穏やかな優しいお客様に会え、
そのお客様と話していると、
「うまくいく日ばかりではない
仕事は楽しいことばかりじゃない。
お客様も色んな人がいるよね。」
と前向きに、
謙虚な気持ちに立ちかえることができたのです。
そしてその繰り返しの日々で
約10年間ホテルの仕事を続けることができ、
大きなやりがいを持って
生活することができたのです。
私たちは、
日常生活の中で、
見えない暴力で自分を傷つけたり、
目の前の人を傷つけたりしてしまいがちです。
けれども、まず思いの思いの暴力に気づくことで
優しさや謙虚な気持ちを取り戻すことができるはずです。
まるで下に向かって慎ましく咲く藤の花のように、
私たちも謙虚で優しさを持って
目の前の世界と調和していきましょう!
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