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京都に行きたいな 2
京都には歴史が凝集しています。
千年を刻んだ都というのは、とても大好物なのです。
さてここは幕末史で有名な寺田屋です。
ここのお登勢という女将さんの庇護で、坂本龍馬がたびたび長逗留しています。さらには妻とされるおりょうさんを彼が保護して、この旅籠に預けていたとの話がありました。その建物の現物が残っているので、それは見学にいかないと。
場所は伏見という京都でも郊外になります。
鴨川とは、濠川で連結された場所です。往時は大坂までの三十石船や高瀬舟が行き交って、その拠点として寺田屋という旅籠が繫栄したということです。
しかもこの建物、龍馬の刀の傷痕というものが残っておりました。
しかもしかもリフォームを受け、現在では旅館として宿泊ができるようになったそうです。
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この寺田屋での白眉は、湯上りのおりょうエピソードです。
伏見奉行所が坂本龍馬を追って、この寺田屋を包囲したときのことです。
戸外に只ならぬ気配を感じた人物はただひとり、入浴中のおりょうでした。おそらくは細木格子を透かし、向こう側の捕吏の姿を確認したのでしょう。
そのまま全裸で階段を駆け上がって、二階で密談している龍馬に急を伝えます。それにより彼は危機を知り、応戦する心積りができたことで、捕吏の突入に対して銃撃で応戦しました。そのとき右手親指に傷を負ったものの、無事に遁走しおおせました。
その後、傷の療養を含めて、おりょうを伴って薩摩に行きました。
これが日本初の新婚旅行と呼ばれています。
薩摩では高千穂峰へ登山して、逆鉾の剣を実見したそうです。姉に絵付きの詳しい書簡を送っていて、それが現存しています。
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この湯桶は明治で作られたものらしく、実際におりょうが浸かったものではないそうですが。
この湯殿の窓ガラスが当時は格子細工でしょうし、そこから外を見たのではないかと想像します。
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こんな階段を見せられると、物語を映像で見えてしまう私の性癖から、背に水滴を浮かせながら疾駆する、彼女の裸身が目前に浮かんできます。
怯えに揺れる肌が上気して、濡れ髪が重たかったことでしょう。
途中で膝を打ったでしょうし、呼吸も荒かったでしょう。
額に浮かぶのは冷や汗の方だったでしょうね。
こうした体温の籠った遺物というのは、物書きの想像力を掻き立てますね。
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この伏見では今でも観光用に十石船が回遊しています。
昨年春に、フォローしているnoter、ナックルヘッドさんの写真を見てもくもくとお話が湧き出てきました。
「伏見の鬼」という一篇ですけど。
こうして一度歩いた場所ってのは、詩想が湧きやすいのです。
それで旅を始めると、いつしか取材旅行のような色彩を帯びるのですね。