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今日の1冊 #59 【湖国の十一面観音/石元泰博】

湖国の十一面観音/石元泰博

湖国(滋賀県)は、十一面観音の宝庫である。これらの観音は秘仏であり、33年に一度御開帳されるだけで、普段は拝観することができない。本書は31カ寺の協力によって初めて撮影が許されて完成した画期的な写真集。
滋賀県の主に湖東地方に点在する古寺に祀られ、秘仏とされる十一面観音像の数々と湖国の風景を石元泰博氏が撮影。

本書概要文一部抜粋

個人的ハイライトは無数の虫穴と欠損の激しいニ躯。間違った鑑賞かもしれませんが、欠損した耳や指先はどうなっていたのか、想像を膨らませて見ることができました。特に観音様の削ぎ落とされた佇まいに美しさを感じました。

「昔の『ならのしるべ』という和本に、頭を欠き、腕を欠き、胴体を欠く仏像を「破損仏」と書いてあった。
破損仏は破損していてなおかつ美しいのだ。否、破損しているが故に美しいのだ。」

古色大和路/入江泰吉エッセイより

石元泰博 Ishimoto Yasuhiro [1921―2012]

1921年アメリカ合衆国サンフランシスコに生まれる。3歳のとき両親の郷里である高知県に戻り、1939年高知県立農業高校を卒業。
同年に渡米し、終戦後は、ニュー・バウハウス(シカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン)で、写真技法のみならず、石元作品の基礎を成す造形感覚の訓練を積む。
1969年に日本国籍を取得。丹下健三、磯崎新、内藤廣など日本を代表する建築家の作品を多く撮影していたことでも知られる。
1983年に紫綬褒章、1993年に勲四等旭日小綬章を受章、1996年に文化功労者となる。
2006年、高知県立美術館に作品や資料の寄贈が決定。3万5千点におよぶプリント作品のほか貴重な資料が収蔵されている。


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