映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の感想
映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』観たんですけど、どういう感情持てばいいのこれ。
全体の所感
実は、前作の『ジョーカー』は観ておらず、あらすじのみ目を通している。
したがって、前作と比べてどうのこうのという感想は私にはない。
ラストからは、「華やかなのはフィクションの世界だけで、現実はこんなもんですよ」というメッセージを私は受け取った。
「人生はこんなもんさ」みたいなことも劇中で何度も言われていた気がするし。
漫画、アニメ、ゲーム、映画に舞台といったエンターテイメントは、仮に物語のベースが〈現実〉に起きたことだったとしても、それを誇張して華々しい演出をつけ、〈安全な夢〉となって観客を楽しませる。
もちろん『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』も映画なのでフィクションのエンタメであることに違いはないのだが、どちらかといえば〈安全な夢〉を〈容赦ない現実〉に寄せていった感じ。
ミュージカル調なのは知らなかったのでビックリした。
『ラ・ラ・ランド』とか『グレイテスト・ショーマン』は観たことがあり、ミュージカル映画とはああいう華やかな映画だと思っていたから、この作品はちょっと地味な印象があった。
ジョーカーについて
アメコミに詳しいわけではないが、ジョーカーというキャラクターの持つ強烈な魅力とカリスマ性には魅力を感じる。
ジョーカーに影響を受けたであろう悪役は何人も見ているし、それだけジョーカーという悪役は人を惹きつけるのだろう。
しかし、本作ではピエロのメイクを落とすと、そこにいるのは冴えない中年男にすぎない。
ジョーカーの「〈現実〉をブッ飛ばす痛快さ」を期待していた観客にとっては、ブーイングが起こるのも無理はない。
ラストは「えっ?そうなるんかい」と思う展開だったが、悪のカリスマ(笑止)にはショボい最期がお似合い、ということかもしれない。
ドラマとして盛り上がるかはさておき、〈現実〉の目線からすれば、それは非常に理想的で正しい結末と感じた。
ハーレイ・クインについて
レディー・ガガが映画でハーレイ・クインを演じると予告で知り、公開を楽しみにしていた。
『アリー/ スター誕生』のヒロイン役が見事だったので。
私にとっては、ハーレイ・クインはマーゴット・ロビーが『スーサイド・スクワッド』で演じたキャラクターの印象が強い。
今までに見たことがないビビッドでポップなビジュアル、プリンちゃん(ジョーカー)LOVEなキュートさ、高笑いしながらバンバン殺人をおこなうカラッとしたイカレっぷりは強烈だった。
日本でもコスプレが大流行していたし、Myポップカルチャー史上において革命的なヒロインだった。
私もいつの間にか好きになっていたキャラクターだったから、そのハーレイ・クインをガガが演じるとなれば、期待せざるを得ない。
結論として、まぁこういう現実路線のハーレイ・クインもアリかな、という感じだった。
とはいえ、ガガのハーレイがマーゴットのハーレイみたいに大暴れするシーンは見てみたかった。
赤いジャケットを着てきたときは、「いよいよか…!」とテンションが上がったんだけどなぁ。
おわりに
映画は興行的には大コケしたと聞くが、私は決して嫌いではない。
一人のキャラクターをさまざまな作家が描くのがアメコミらしさなのだし、こういうジョーカーとハーレイ・クインの世界も悪くない。
まぁ、私はどちらかといえば、観終わったあとに「……???」という気持ちではなく、「面白かった〜〜〜!!」という感想で劇場を出たい派ではあるが。