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「私は、過去に夢を見る」

私は、過去に夢を見る。


人生の岐路で、並べられた選択肢。
私が選ばなかった道では、どんなことが待っていたのだろうか。

進んだ道の途中、ひそひそ聞こえる噂話。
隣の道の明るい話。
それはまるで、後出しジャンケンのよう。

私は進む。自分が選んだ道を。
私は目指す。分岐した道の合流地点を。
必死に、ただひたすら前だけを見て、走り続けて。

足がもつれて倒れ込む。
起き上がって周りを見ると、そこは暗闇。先の見えない暗い道。ほんのわずかな光が差し込んでいるのかもしれない。行き止まりではなく、道だと分かるのだから。

振り返れば、光が見える。
ああ、この道を照らすのは過去なのか。差し込んだ光は、あの分岐点からなのか。時間に抗うことはできず、ただ目を閉じて息を吸い、ゆっくりと、細く、長く、吐く。

1度選んだ選択肢、それは自分の行き先を決めた大切なもの。後悔しても、選び直せない。


だから私は、過去に夢を見る。



ーー2020/11/29 爽香さわか なこの携帯のメモより


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