現代における本というメディアの役割
さる4月25日、うれしたのしい給料日のよる。わたしは渋谷にあるオサレ書店BOOK LAB TOKYOにいた。このイベントに参加するためだ。
BOOK LAB TOKYOさんにはいぜんも来たことがある。わたしの脳には「のぼりはエスカレーターがあるけど、くだりは階段しかない」という情報がインプットされていた。相違なかった。
イベント内容は上記リンクをみてもらえばわかるが、くわえるなら、トークの大ぶぶんを占めたのは「コミュニティ」についてだったという点だ。
しかし、それがぜんぜん本と関係ない話かというとそうではない。むしろこれからはコミュニティをプロデュースすることが出版において大事なんじゃないかというはなしだった。
ここらへんの内容は佐渡島さんの新刊『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜』のP82に書かれている。読むしかない。
そう、わたしはこの日、発売まえだったこの新刊を幸運にもゲットした。ジャンケンで勝ちぬいたのだ。佐渡島さんのサインももらった。わーい!
佐渡島さんのサインぞ。
というわけで? こんかいの内容は本書のレビューという位置づけ。
本書のテーマはずばり「コミュニティ」だ。具体的には「なぜいまコミュニティが求められているのか」「コミュニティの円滑な運営、持続にはなにがたいせつか」が書かれている。
ただしこの本はコミュニティのハウツーが書かれた本ではない。
コミュニティについての本がないならば、この本を、それを多くの人が考え出して、思考し出すきっかけできればいいじゃないかという一種の開き直りだ。本の中身自体を重版のときにアップデートするのではなく、本によってお題を世の中に提供し、そのお題をみんなが話し合い、知見がたまっていくことが、本のアップデートの仕方なのではないかと、今のところ考えている。
僕の主張にみんなが納得してくれるのではなく、コミュニティとは何か? という問いを、みんなで考える。それが、この本の目指すところだ。
たんに情報を収集したり、すごいひとの知恵を得ることだけを目的とするなら、本はあまり有用なメディアとはいえなくなっている。
たとえば、本当にコミュニティの作りかたを学びたいなら、本なんて読まずにどこかのオンラインサロンに入って体験し、自分でもなにかコミュニティを立ちあげてみるほうが手っとりばやい。こまったことがあったら、それこそオンラインコミュティの仲間にきけばいい。
その意味で、佐渡島さんが意図しているように、本をよむことを読者のゴールにするのではなく、本を読むことをスタートラインにすることはすごく理にかなっているように感じた。
本は「孤独」を提供してくれる
ここから話は「コミュニティ」から離れる。というよりも、真逆のことをはなす。
それは、現代における本というメディアの価値は「孤独をえる」という目的も果たすんじゃないかということだ。
本を読んでいると没入感をえやすい。私はスマホでkindle本も読むけど、なにか通知がくるとそっちに意識がそがれて、読書が中断されてしまう。けど本を読んでいると、時間がたつのも忘れて読みふける。トリップする。
わたしたちはふだん、つねにネットでつながっているし、それがあたり前になっている。音楽もゲームもオンライン化している。だれかの履歴やコメントやレビューがあって、そこに他者の存在をかんじる。
でも、だからこそ、わたしは定期的に(わりとひんぱんに)「孤独」をえたい。そのためのいちばんお手軽なツールとしての役割も本は果たすんじゃないだろうか。
週末は文芸書→ビジネス書のコンボで
こういう没入感による孤独をあたえてくれるのは、やっぱり文芸作品のほうがおおい。
ただ、そういう没入感の強い文芸を週末に読むと、日常生活にもどって働くことがむなしく感じることもあるので、そこで〆にビジネス書を読んでマインドを切り替えるのもひとつのテクニックではある。
没入感を得たいなら、こちらがおすすめ。長いので夜更かし注意。
(了)
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