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第82回 国語教育全国大会を研究要項で自学する①(2019年10月20日)

 毎年参加している日本国語教育学会の夏の全国大会ですが、今年は仕事の都合で参加できませんでした。
 残念に思っていたところ、毎年一緒に参加している友人が、研究要項を貸してくれました。公開授業やワークショップはもちろんその場にいないとなりませんが、基調提案とそれを受けてどのような実践報告等がなされているかを分析することはできると思いました。
そこで、今回からしばらく、大会の研究要項を自分で読んでいきたいと思っています。

 さて、毎年、全国大会にはテーマがあるのですが、今年は「豊かな言語生活を拓く国語教育の創造ー言葉による見方・考え方を働かせる単元学習-」でした。そのタイトルで、学会の研究部長である鳴島甫先生が基調提案をされています。
 この「言葉による見方・考え方」というのは、平成28年12月21日に、現行学習指導要領の基本方針を示した「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策等について」が中央教育審議会「答申」として示したもので、その中の第五章「何が出来るようになるかー育成を目指す資質・能力ー」中の「三教科等を学ぶ意義の明確化」の中の「各教科の特質に応じた『『見方・考え方』」(33ページ)に解説があると言います。

◯子供たちは、各教科等における習得・活用・探究という学びの過程において、各教科 等で習得した概念(知識)を活用したり、身に付けた思考力を発揮させたりしながら、 知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題 を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう。こう した学びを通じて、資質・能力がさらに伸ばされたり、新たな資質・能力が育まれたり していく。

○ その過程においては、“どのような視点で物事を捉え、どのような考え方で思考してい くのか”という、物事を捉える視点や考え方も鍛えられていく。こうした視点や考え方 には、教科等それぞれの学習の特質が表れるところであり、例えば算数・数学科におい ては、事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、論理的、統合的・発展 的に考えること、国語科においては、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、言葉の意味、 働き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味付けることなどと整理で きる。

○ こうした各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方が「見方・考え方」であ り、各教科等の学習の中で働くだけではなく、大人になって生活していくに当たっても 重要な働きをするものとなる。私たちが社会生活の中で、データを見ながら考えたり、 アイディアを言葉で表現したりする時には、学校教育を通じて身に付けた「数学的な見 方・考え方」や、「言葉による見方・考え方」が働いている。各教科等の学びの中で鍛えられた「見方・考え方」を働かせながら、世の中の様々な物事を理解し思考し、よりよい社会や自らの人生を創り出していると考えられる。

 これを踏まえ、「国語科においては、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、言葉の意味、 働き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味付けること」とされている。国語科がなすべきことは、教材の内容の解釈ではなく言葉であるというのは、近年、学会の中でも特に繰り返し確認されていることでありますが、それについて、学会が長年提唱している国語単元学習との関係性を鳴島先生は確認しています。 (つづく)


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