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【『逃げ上手の若君』全力応援!】(180)「歴史」というフィールドを「理想」抱いて自在に駆ける魅力的な登場人物たちーー保科弥三郎・四宮左衛門太郎の再登場で『逃げ上手の若君』の本領は大徳王寺編以降にアリ!?
『逃げ上手の若君』初登場からしばらくは嫌味な目玉オヤジだと思っていた小笠原貞宗ですが、いつの間にかイケオジ枠入りしていて、今回も部下たちはともかく、貞宗自身は圧倒的な強さを見せつけた『逃げ上手の若君』第180話。 再び信濃と諏訪を舞台に、懐かしい顔ぶれと今後の展開にワクワクが止まりませんでした。その前に印象に残ったのは、時行と逃若党の成長でした。 「お前… でかくないか?」 「十四の女子だもん 成長期にもなるよ」 第179話の逃若党オールスター入浴シーンで、20
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(179)佐々木道誉は遺言で「ミま」への仕打ちを悔いている!? 二万年前の塩水の湧き出る山奥の温泉に秘された大昔の地球と神々の活躍が重なり合う不思議こそまさに聖地の証!!
「こめんよ魅摩ぁ~ 戻ってきてくれよ~!」 『逃げ上手の若君』第179話の冒頭は、伊勢の海上で時行の手に渡った魅摩に泣いて詫びる佐々木道誉で始まりました。大量も涙でも汗でも顔は黒いままなのでガングロ(古っ…)は地なんだというのが気になったのですが、そんなところに注目したら道誉に申し訳ないですよね。ーー私ももし魅摩の立場だったら「何言ってんだコイツ」となるかもしれませんが(魅摩はすでに大好きな男性のもとにいますしね!)、父・道誉としては栄達のための財産としての娘だと割り切
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(178)香坂高宗と諏訪明神に導かれて逃若党は再び信濃へ! 再会した新明神様も大変な目に遭っていたことを『諏訪大明神絵詞』で確認してみた
「もちろん出世のためですぜ! 下っ端武士の一世一代の大博打だ!」 時は南北朝時代、香坂宗高のように「博打」を打つ人間は少なくなかったに違いないと納得させられた、『逃げ上手の若君』の第178話の始まりでした。ーー彼、正直ですよね。正直が最大の美徳であった中世において、自分を貫き「天竜川を急いで下った」という行動力あふれる香坂宗高のキャラクターが光ります。 「野心も打算も笑顔もすべて屈託がない 信じるに足る若武者だ」 「野心」「打算」はどうしてもマイナスのイメージが
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【『逃げ上手の若君』全力応援!】(177)後半は僧侶の自己判断でカットされた? 結城宗広の最期の場面は古典『太平記』そのまま!! 満を持して宗良親王登場そして時行再び信濃へ!?
とうとう宗良親王が登場して、時行の謎とされる年月を松井先生がまたまたどう描くのかに胸が熱くなる『逃げ上手の若君』第177話でした。先日は鎌倉の歴史文化交流館に足を運びました。現在の企画展は『北条氏150年 栄華の果てー鎌倉幕府滅亡ー』。展示を見ていると、学芸員さんが何人もの入場者を率いてギャラリートークが始まったのですが、『逃げ上手の若君』で北条時行を知ったという人がたくさん訪れているという話が聞こえてきました。ーーまさに、まさに、ですよね。会場には結城宗広の書状なども紹介
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(176)出自不明の「北条」に比べて確かに「佐々木」は「名門」だけど……悪しき「神力」に汚されなかった魅摩の純情は「人」として父・道誉をはるかに超えている!?
『逃げ上手の若君』第176話「神代の終わり」は、どこから手を付けてよいのかわからないくらい、あらゆるレベル感で作品のエッセンスやテーマが盛り込まれた回であったかと思いました。 個人的には、雫のフィルターを通して見た魅摩がひどすぎやしないかというのが、雫も魅摩も好きな私としては、笑いと同時に少し複雑な気持ちになりました。京都で魅摩が登場した際の双六勝負や見物時には無表情を装っていた雫ですが、魅摩に対して「悪い虫」や「鼻くそ」な見方をしていたとは(逃若党の皆がそんな魅摩を微笑
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(175)両極にある「性(さが)が向くまま」に生きるのは時行も結城宗広も変わらない!? 人間として生まれ、自らに与えられた力を信じることは「神」を「敬う」ことにも等しいか?
衝撃の展開がまさに「嵐」のように次々と襲った『逃げ上手の若君』第175話でした。……これって、魅摩はもちろんのこと、雫すら動揺させるためにわざとやっているの!?と思わずにはいられない時行の問題発言(ジャンプ本誌をご覧ください)でした。 最後のコマでは、久々に諏訪頼重がインチキ顔でニヤついています。それを見た時に私は、頼重が未来予知をして時行に入れ智慧をしたのではないかと想像してしまいました。一体いつ?……「冥土」にて二人が再会した時ではないでしょうか(第147話「高師直1
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(174)「天下」と「神力」に宿る〝キモい〟意志 VS〝清い〟意志!? ……ほか、『太平記』における「激烈な嵐」の描写や時行の同船者や行先などを確認してみる
前回の『逃げ上手の若君』第173話で、伊勢における魅摩登場をかねてより予感していたものの、まるで整形美人のようになっている彼女の「神力過剰注入」を私は疑っていました。 しかしながら、魅摩の神力は行き場を失くした神仏たちに対する魅摩の優しさゆえに身に付いたものだった(……と、私は解釈しています。第51話「双六1335」参照)ので、源氏の氏神の八幡神だとかそのあたりから正統にもたらされた(追加された)のであろうなどと勝手に思い込んでいました。 ーーイキっていても十代前半の
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(173)結城宗広は結城宗広を生きただけ……「正直」に生きる人間の物語ほど破綻する!? そして、同じ未来を見つめて出航する時行たちを神力過剰注入疑惑で個性を失った魅摩が襲う!!
「顕家さま」「俺はもっと学びます あなたがくれた教養の種を奥州に撒きます」 『逃げ上手の若君』第172話は、北畠顕家の御父君である親房卿の策による伊勢出航の場面、五平さんのこのセリフに泣きました。ーー『古事記』を胸に前を見据える彼は、「チ✕コキン」の五平さんですよね(第136話「顕家1333~1338」)。 私は学校の現場での経験が長くありますが、現代の学びは両極に陥ってしまっているのを痛感しています。ひとつは、受験勉強に象徴される押しつけの学びです。将来に有利だから
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(172)世界が無理強いするルールや不条理を一蹴する「?」ーー強くてカッコいい新田義貞に付き従うのに理由などいらない男たち!?
「よーしお前ら 元気出せ!」「首くらいもげてもそのうち生えてくる!」 「バカ100%!!」の編集部コピーにも吹きましたが、前回第171話の『逃げ上手の若君』ラストで、「なんか味方のケガ人いっぱいらしい 気合い入れに行くぞ」の新田義貞の場面で終ってのこれですから、本気でそう言っているのか冗談なのか、判断に迷います。ーーしかしながら、兵たちは義貞のその発言は受け流しているので、いちいち真意を問うことなく〝またか…〟くらいな感じなのでしょう。 『逃げ上手の若君』ではこれまで
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(171)「ジュンサイ」のおがずだけでも及第点だったはずの時行は、プラスアルファの解答で後醍醐天皇との「無礼講」を果たす!? 帝ですら逃れられなかった「しがらみ」が解かれる現代で……ある問題提起
「朕の食べたいおかずを当てて調達して来い」 「ジュンサイ」とともに「食べたい物」を当てられなかったら「死罪」という、よく意味のわからない後醍醐天皇の要求に対して、時行の「はぁぁ⁉」で終わった『逃げ上手の若君』第170話でしたが(編集部の付けた「正気の沙汰とは思えない……!」のコピーが秀逸)、帝に意見する時行はまさに北条DNA炸裂の「ありのままの相模次郎」(編集部注では「相模守高時の次男坊」)だなと思ってしまいました。 ところで、第171話の冒頭で光る帝の両目の場面の
【『逃げ上手の若君』全力応援!】(170)シイナの「宿願」とは本当に「主君のため戦い抜く」ことなのか!? 多大な損失と僅かな恩賞への不満は断ち切った伊達行朝と奥州武士たちが手にした「価値」とは……?
「いいえ いいえ! 今度こそ主君のため戦い抜くのが私の宿願!!」 顕家の最期に涙しながらも前を向く時行のアップで終了した感動の第169話ーーからの、「発情!! 戦闘レディ!!」の編集部のキャッチコピーで始まる『逃げ上手の若君』第170話は、前回とのギャップに〝ええっ?〟と、少しだけ引きました。 単行本第17巻の表紙がシイナだしな……などと商業的な展開を考えてしまいながらも、〝シイナってこんな面白いキャラクターだったんだ〟という新鮮な驚きをあらためて感じてもいます。シイ