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「児のそら寝」~気づきから始める古典の学習~(2020年4月26日)

 高校一年生の定番教材の一つである「児のそら寝」ですが、かつて教えた生徒の中には「この作品を超える古文はなかった」と言って卒業していった生徒もいました(受験で古文を選択していた生徒なので、そこそこの数は読んでいたと思われます)。

 子どもたちにとって最初に触れる古文の作品が興味深く、良い印象であってほしいのは教える側としては当然ですが、これまで自分はそれができていたかというと、自信を持ってイエスと言い切れないところがあります。

 あれもこれも教えないといけないからと、どうも欲張っていた気がしてなりません。結果、作品の持つ面白さを殺してしまっていたのではないかと思うのです。

 今年はオンラインや動画で授業を始めないといけないことも考えた時に、生徒たちが家にいて学習する時間をフルに生かせた方がいいと考えました。

 そこで、問いをたったひとつ出してみてはどうかと思いました。

 ――「児のそら寝」を読んで、古典らしいな、古文らしいなと思ったものをたったひとつだけ見つけて教えてください。――

 「たったひとつ」がポイントです。他の人が出さないものをと一生懸命に探す生徒もあるでしょうし、他の人と絶対にかぶりたくないと自分で調べてみてくるという生徒もあるでしょう。

 こんなのしかわからなかったという生徒も構わないと思います。グループきや全体でお互いの答えを共有した時に、そうなのか!と思ってくれればそれで問題ないわけです。

 私としては次のような段階で、気づきが深くなっていると考えました。

 ①仮名遣い(歴史的仮名遣い)
 ②語彙(古文特有語・古今異義語)
 ③文法(用言の活用の違い・助詞と助動詞の種類が多い)
 ④(ことばの先にある)生活・文化の違い
 ⑤文学史(作品のジャンル・時代年代)
 ⑥思考や感覚の違い(あるいは、現代と変わらない点)

 「自分たちで気づけた」というところを出発点として、だからこそ、古文単語や古典文法、古典常識、文学史、辞書を引くこと、便覧を手にすることの大切さなどにも同時に気づいてほしいと思っています。

 ※Youtubeで全7回の動画にもまとめています〔限定公開設定〕。参考にしていただければ幸いです。

【児のそら寝】

https://www.youtube.com/playlist?list=PLq47DNREuLOjTXv25PTwQk5rePcEbbRDF

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