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自宅療養日記(2022年2月16日)

2022年2月16日
 5時50分に炊飯器の音で起床する。昨日ほど寝汗をかいていない。のどの痛みは昨日の朝よりわずかに軽くなり、声も『サマータイム』のジャニス・ジョプリンだ。
 
 どのプロセスでも違和感を覚えないので、熱はないだろう。ただ、咳をすると右眼が痛くなる。頭痛は残っていない。と言うか、咳の際の眼の痛みは昨日より強い。
 
 食欲はいつも通りだが、どうも味覚が強く感じられる。味覚がなくなるのではなく、その逆だ。使う調味料の量は計っているので、そうそう味が変わるはずもない。実際、美紀はいつもと同じだと言う。しかし、味噌汁もサラダもしょっぱい。ヨーグルトは酸っぱく、野菜生活は甘ったるい。味覚が過敏になっているように思える。なお、嗅覚に変化はない。
 
 歯磨きの後に体温を計る。37度で、平熱だ。『ドリフ大爆笑』を見ながら、ストレッチをし、その後、iPhoneやCNNでニュースを確かめながら、屋内ウォーキングをする。
 
 新型コロナウイルスの他に、今最も関心が高いのはウクライナ情勢だ。緊迫感が増している。
 
 『NHK』が2022年2月15日 5時12分更新「ロシア外相 プーチン大統領に対話継続を提言 国営テレビで中継」においてウクライナ情勢をめぐって次のようなニュースを伝えている。
 
ウクライナ情勢をめぐり、ロシアのラブロフ外相は、プーチン大統領に対して欧米側と合意に至るチャンスは残されているとして対話を継続すべきだとする考えを伝えました。
一連のやりとりは、国営テレビで中継され、ロシアとしては、軍事行動を起こす可能性が十分あるとアメリカが警戒を強めるなか、対話重視だとする姿勢を強調した形です。
ウクライナ情勢をめぐってアメリカ政府などは、ロシアがまもなく大規模な軍事行動を起こす可能性が十分あるとして警戒を強めています。
こうした中、プーチン大統領は14日、今後の対応を検討するため、ラブロフ外相やショイグ国防相をクレムリンに呼び、個別に報告を受けました。
このうちプーチン大統領は、ラブロフ外相に対して「ロシアが懸念する重要な問題について欧米側と合意するチャンスはあるのか、それとも欧米側は終わりのない協議に引きずり込もうとしているだけなのか」と問いかけました。
これに対してラブロフ外相は、今週も外交日程が予定されているとした上で「可能性は残されていると思う。いつまでも続けるべきではないが、現時点では協議を継続し、活発化させることを提案したい」と述べ、対話を継続すべきだとする考えを伝えました。
さらに、ラブロフ外相は、アメリカやNATO=北大西洋条約機構からの回答に対する返答として10ページに及ぶ草案が準備できているとプーチン大統領に報告しました。
一方、ショイグ国防相は、各地で行われている軍事演習について「完了するものもあれば続いているものもある」と述べ、演習は、事前の計画に基づいて進められているとプーチン大統領に伝えました。
プーチン大統領との一連のやりとりは、国営テレビで中継され、ロシアとしては、ウクライナの国境周辺に軍の部隊が集結しているのは演習目的であるとともに、欧米との間では対話重視だとする姿勢を強調した形です。
 
 この国営テレビを通じての会談の中継は国民へのアピールだ。これまでロシアのメディアの報道を見ると、世論はウクライナに親近感を覚えており、戦争気分などない。世論が反対しているのに、ウクライナへ侵攻したら、ウラジーミル・プーチン大統領は、結局、その怒りを買うだろう。戦争を始めるつもりなどなく、軍事演習は予定通りしているだけで、外交交渉を続けていくと世論に安心してもらうためにプーチンは会談をテレビ中継させている。
 
  NHK BS1が朝6時台に海外のテレビニュースを放映し、その中にロシアも含まれている。正直、クレムリンのプロパガンダの色彩が強い。しかし、だからこそ、その考えがよくわかる。加えて、彼らは世論の気分に合わせて、自身の持っていきたい方向に誘導している。そのため、放送を通じて世論がどのようになっているかが推測できる。『Sputnik日本』も同様で、使い方次第だ。一例を挙げると、この通信社のニュースにはフィギュアスケートやビットコインの話題が多い。これらはロシアの世論に関心が高い話題だろう。
 
 プーチンのウクライナに対する要求はロシア世論にとって必ずしも身近ではない。NATOの東方拡大阻止というけれども、ロシアは2002年5月に結成したNATOロシア理事会によって準加盟国扱いされている。クリミア問題で事実上の追放状態だが、ロシア自身がNATOに接近した過去がある。ソ連解体の際に不拡大の約束があったという説もあるけれども、それを持ち出したところで、NATOの準加盟扱いだったこととの整合性がつかない。
 
 ロシアの民衆は100年の間に国家を2度も転覆させている。彼らが怒ったら怖いことをプーチンは知っている。世論を無視して彼には政治などできない。
 
坂井鉄也 「オヤジさん、言うといたるがのお、あんた初めからわしらが担いどる神輿じゃないの!組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの!神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみないや、おおぅ!わしの言うとおりにしとってくれりゃあわしらも黙って担ぐわ!のお、おやっさん、喧嘩はなんぼ銭があっても勝てんので!」
(深作欣二『仁義なき戦い』)
 
 プーチンの目的は、かつてはロシアも準加盟扱いだったにもかかわらず、NATOの東方拡大阻止である。それはロシアの世論にとって切実な問題ではない。ウクライナの工作員がモスクワの小学校でテロを起こしているわけでもない。ウクライナが自分たちの生活を脅かしていないのに、、戦争をするなど支持できない。プーチンもそうした世論の気分に気づいている。
 
 軍事行動をとるとしたら、プーチンは世論にその正当化をする。ロシア系住民の安全の確保といった苦しい説明になるに違いない。フェイク動画を始めさまざまなプロパガンダをプーチンは行うだろう。もちろん、信じる人もいるが、プーチンがいくら呼び掛けてもワクチン接種が進まなかったように、世論は彼を必ずしも信用していない。支持と信頼は別物だ。エリツィン時代の経済の大混乱よりはるかにましとして消極的に彼を世論が支持しているだけで、その言動を信用していない。
 
 プーチンはウクライナに「非軍事化・非ナチ化」を要求している。これはフィンランドとの継続戦争の際のソ連を思い起こさせる。1941年、冬戦争で奪われたカレリアなどをめぐってフィンランドは、ナチス・ドイツの協力の下、ソ連に継続戦争を挑む。しかし、敗れた同国は、戦後、いわゆる「フィンランド化」を受け入れて生き延びる道を選ぶことになる。中立政策をとり、モスクワの機嫌を損ねないように、メディアを含めてソ連の批判を差し控える。
 
 プーチンがウクライナに求めているのは、この「フィンランド化」だろう。けれども、ウクライナは主権を有する独立国である。それを大国が武力で威嚇し判断を変えさせることは国際的に許されない。そのような手段をとれば、相手を硬化させ、国際的支持も得られない。
 
 もしロシアがウクライナに対して軍事行動をとったら、それは「侵略」になる。「侵略」は国際法において一切許されておらず、いかなる事情も考慮されない。「侵略」国家は「悪」であり、国際社会は酌量の余地なく非難する。あれこれ理由を挙げたところで、「侵略」をしていいことにはならない。
 
 「侵略」国家ロシアに国際社会は厳しい経済制裁を科すだろう。帝政ロシアから今に至るまでロシアは、農産品や天然資源を輸出して、工業製品や生活用品を輸入する経済構造である。資源の輸出国は為替レートが自国通貨高になるので、2次産業が育ちにくい。実際、ロシアは、中国と違い、グローバルなサプライチェーンに入っていない。戦争当事国は、ロジスティックも滞るので、輸出入の際の保険や輸送費も上がり、制裁に消極的な国であっても、取引に躊躇する。
 
 そもそも軍事行動を始めれば、国内経済は急激なインフレに陥る。市場で通貨が売られ、大幅安になる。また、戦費は、一般予算と別枠にするが、財政を圧迫する。ロシアはすでにその状態にある。「侵略」をすれば、急速にインフレがさらに進む。外貨準備をしていたところで、国外資産を凍結、SWOFTから追放されたら、金融がどうにもならなくなる。ロシアはエリツィン時代に逆戻りだ。市場経済の経験もろくにないまま、新自由主義の世界に放り込まれたのがエリツィン時代のロシアだ。ロシアの民衆にとってあれはトラウマであり、そこから抜け出したプーチン時代を支持する重要な理由だ。
 
 ウクライナに入れば、、4400万人の大半が反ロシアとなり、徹底的な抵抗をするだろう。半信半疑でプーチンの命令に従うロシア軍とは士気が違う。かりに傀儡政権を樹立できたとしても、ゲリラ戦や不服従運動を抑えるために、数十万の兵の駐留が不可欠だ。ロシアにとってのウクライナはソ連にとってのアフガニスタンになりかねない。
 
 合理的に考えるなら、ロシアがウクライナに浮力行使するのはあまりにも代償が大きすぎる。正直、プーチンは冷酷であるが、それを選ぶほど愚かとも思えない。世界もプーチン・ショックで、エネルギー価格の高騰などさらなるインフレに陥りかねない。ウクライナに侵攻しなければプーチンは勝てるかもしれない。しかし、軍を進めた瞬間に、彼の負けは確実だ。戦争の勝敗は戦闘のそれではない。政治で決まるものである。
 
 9時半頃にクリニックの院長から電話があり、検査結果が陽性だったと伝えられる。”There woukd have been a time for such a word”.その内容を当局に報告すると言い、治療薬が必要かどうか尋ねられたので、要らないと答える。症状はすでに軽くなっている。院長は、承知していると思うとしつつ、今後の流れを説明してくれる。
 
 陽性に驚きはない。むしろ、陰性だった時の方が驚きだ。陰性なら、この症状は何の病気だと悩んだに違いない。実家と杏子さんに検査結果を伝える。
 
 美紀は今日から外出ができる。ただ、咳が軽く残っている。加えて、抑うつ感があると言う。やる気が起こらず、飽きた感じになる。報道よりも軽いけれども、後遺症だろう。いつまで続くのかと心配になる。
 
 帯状疱疹は幾分かゆみが減ったとのことだ。かゆくなる時は変わらないものの、その強さが減退している。やはり新型コロナウイルス感染症の影響があったに違いない。
 
 午後3時半すぎに保健所から電話がある。その看護師の声はいわゆるアニメ声に近く、若い女性だろう。発症の日を尋ねるので、のどの痛みを感じたのは11日と答える。発症日は2月11日になる50歳以上は自宅療養サポートセンターではなく、東京都自宅療養フォローアップセンターが担当するとのことだ。自宅療養期間は21日までの10日間を目安とし、場合によっては延長とのことだ。サポートセンターからの電話は1日2回だったが、フォローアップセンターは1回なそうだ。年齢の高い方が回数の少ない理由はわからない。オンラインでの報告もマイハーシスではなく、LINEと言われたが、そのアプリを使っていないので、電話のみでも可能だとのことである。パルスオキシメーターは美紀に貸与されたものをそのまま使用する。
 
 『NHK』は、2022年2月16日 4時49分更新「コンピューターウイルス『エモテット』 再び感染拡大で注意」において、次のように伝えている。
 
ここ数年、世界中で猛威を振るい、去年、いったん制圧されたコンピューターウイルス「エモテット」が1月以降、以前の流行期に迫る勢いで感染が広がっているとして、情報セキュリティーの専門機関が注意を呼びかけています。
世界中で猛威を振るったコンピューターウイルス、「エモテット」は去年1月に国際捜査によって制圧が宣言されましたが、その後、11月に活動再開が確認されました。
JPCERTコーディネーションセンターによりますと、国内で、端末がエモテットに感染した可能性のあるメールアドレスの数は、1日平均で70件程度で推移していましたが、1月末から急激に増え、2月8日の時点で1230件にのぼり、感染が最も拡大していたおととし9月の時期に迫る勢いとなっています。
エモテットは送られてきたメールの添付ファイルを開くなどして感染すると、端末の連絡先やメールの内容が盗み取られ、知り合いや取引先と過去に実際にやりとりした文書を引用するなどして偽のメールを広げていきます。
JPCERTコーディネーションセンターは「感染が感染を呼ぶ悪循環に陥っていて、緊急事態といえる。パスワードつきのファイルを違和感のない日本語の本文とともに送りつける手口も出現しており、知っているアドレスからのメールであっても身に覚えのないファイルが送られてきた際には、直接確認するようしてほしい」と注意を呼びかけています。
“摘発逃れた犯罪者の一部 攻撃を再開か”
コンピューターウイルス、「エモテット」は感染すると、端末の連絡先やメールの内容を盗み取って、知り合いや取引先と過去に実際にやりとりした文書を引用するなどして、偽のメールを広げていきます。
また、単に情報を盗み取って流出させるだけでなく、さらに危険なウイルスを呼び込む機能も持っていて、より深刻なサイバー攻撃の足がかりにされるおそれもあります。
JPCERTコーディネーションセンターによりますと、海外では、エモテットを通じて身代金要求型のコンピューターウイルス、「ランサムウエア」によるサイバー攻撃を受けた事例も報告されているということです。
JPCERTコーディネーションセンターの佐條研さんは「再び流行しているウイルスは、プログラムが基本的に以前のものと同じで、摘発を逃れた犯罪者の一部が、新しくサーバーを立ち上げるなど攻撃のインフラを、いちから作り上げて攻撃を再開しているのではないか」と話しています。
 
 この「コンピュータウイルス」はうまい名称だ。「ウイルス」は遺伝情報を膜でくるんだカプセルのようなもので、バクテリアと違い、自己増殖力はない。生体の細胞に侵入して複製を作り増えていく。細胞を持たないのだから、生物とは言えない。一方、コンピュータウイルスもコンピュータに感染して不都合な症状を発生させる。両者はよく似ている。ただ、ワクチンは予防薬であって、治療薬ではない。そこが病原体のウイルスとコンピュータのそれとの違いだ。
 
 現代の戦場はサイバー空間にも及ぶ。そこでの兵器の一つがコンピュータウイルスである。現実空間では戦火を交えていなくとも、すでに仮想空間において戦われている。両者は決して別物ではない。後者は前者を増幅して現われるものだ。この戦争には、第三者はあり得ず、いかなるユーザーも知らないうちに巻きこまれる可能性がある。サイバー空間はグローバル化された自己の具現にほかならない。
 
 『NHK』が2022年2月15日 11時39分 更新「1月のクレジットカード消費動向 4か月連続で増加」というニュースを報じている。「データ分析会社の「ナウキャスト」とクレジットカード大手の「JCB」は、カードの利用情報をもとにプライバシーを保護したうえで、消費の動向を見る指数を公表しています。それによりますと、先月の指数は新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる2018年までの3年間の同じ月の平均よりも0.7%増えました。4か月連続の増加となりましたが、去年11月や12月の4%前後の増加と比べるとプラス幅が縮小しました」。
 
 クレジットカードによる消費動向はこれまでにも公表されている。オミクロン株の感染拡大が消費を冷やしている。
 
 自主隔離や自宅療養していても、クレジットカードを始め現金以外の決済方法があるので、助かる。家にいて人と接しなくても商品を購入できる。
 
 ところが、キャッシュレスが進んでいるにもかかわらず、通貨流通高は増えている。日銀によると、2021年はおよそ122兆円で、2000年の60兆円から倍増以上となっている。日本政府は2025年までにキャッシュレス決済比率40%を目標としている。依然として現金決済の方が多いということだ。
 
 現金と違い、カード決済は利用することで消費者は、個人情報を発行企業に与える。彼らはそれを集めているのではない。集まるのだ。こうした公表は公共政策への寄与でもある。
 
 従来、政府を代表に公共機関は、公共政策に反映させるだけ、コストを費やして個人情報を集めている。しかし、今や民間企業にさほどコストをかけなくても個人情報が集まってくる。無料の場合もあるので、消費者と言うよりもユーザーは必ずしもその仕組みを承知していない。企業はそれを裁量的に私的目的に利用、中にはその情報を外部に売り渡す企業もある。そのため、政府も規制に乗り出している。消費行動は私的活動であり、プライバシーにあたる。だからこそ、特定できないように加工した上で、企業は入手した個人情報を公共政策への参考として公開しているのだろう。公私分離は近代の最も基本的な原理である。それに抵触することは、その理論的説得力か不可欠だ。
 
 夕食はソーセージ、ポテトのクミンヨーグルトサラダ、野菜サラダ、キャベツとトマトのスープ、さつまいものヨーグルトサラダ、食後は緑茶、みかんをとる。比較的多めに食べても満腹感は、確かに、乏しい。屋内ウォーキングは10390歩を達成する。都内の新規陽性者数は17331人で、17330人という淡い期待はかなわなかったというわけだ。
 
 今日も寝る前にビールを飲む。足に靴下、首にタオルで床に就く。YouTubeで西行の動画を聞きながら眠りに入る。
 
参照文献
「ロシア外相 プーチン大統領に対話継続を提言 国営テレビで中継」、『NHK』、2022年2月15日 5時12分更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220215/k10013484401000.html
「1月のクレジットカード消費動向 4か月連続で増加」、『NHK』、2022年2月15日 11時39分 更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220215/k10013484561000.html?fbclid=IwAR383ohaq6UBehJu89BJMR6__exTOSGjahYVnVSYeNGX13VI-8bPmpOaSes
「コンピューターウイルス『エモテット』 再び感染拡大で注意」、『NHK』、2022年2月16日 4時49分 更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220216/k10013485871000.html?fbclid=IwAR0EhHdlGJhwbaxk2c9L7t76sbolaFLD7qEAvLIxXixLeow0dCthAp0QLp0
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