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海水の淡水化処理のSDGs
全世界の約5億人が常に水不足に直面しています。また、20億人が1年のうちで複数回の水不足に見舞われています。
天候に左右されず水不足を解消する方法のひとつである淡水化プラントには、塩水を沸かして蒸気を集めて冷却する「多段フラッシュ(MSF)」か、脱塩用の膜を使って海水から塩分と微生物などを濾過する「逆浸透法(RO)」があります。
淡水化プラントは世界に16,000基設置され、毎日9,500万立方メートルを淡水化しています。
淡水化の副産物として排出される排塩水は、毎日1億4,200万立方メートルです。これは、北海道と同じ大きさの器を用意して排塩水を注ぐと水位が60cmになる量です。
排塩水は普通の海水よりも塩分濃度が高いため、海底に沈澱します。そして、この排塩水は溶け込んでいる酸素の量が少ないです。そのため、この塩分濃度と酸素量に耐えられない海の生物に大きなダメージを与えます。
オランダの大学によるレポートでは、世界の排塩水の55%は中東の4カ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール)が排出しています。
中東のプラントは、まだ多段フラッシュ(加熱式)が主流だった脱塩プラントの初期に莫大な投資をして建設した古いプラントが多数を占めています。これらは処理の効率も悪く化石燃料を大量に消費し大量の排塩水を排出します。
ただこれらの国は産油国であり、化石エネルギーは安価に調達可能なため、燃料コストの上昇によるプラント刷新のモチベーションが高まりません。
また産油国は今後、化石エネルギーの消費が急激に減ることが見込まれるため、観光や投資などの新たな基幹産業へのシフトを急いでいます。そのため環境負荷を下げるために、高額な新しい淡水化プラントの建設をする余裕もありません。
「目標13 気候変動への具体的な対策を」を達成するために、エネルギーを化石から再生可能にシフトする動きが、淡水化プラントの化石エネルギー消費の削減を阻み、さらに排塩水が「目標14 海の豊かさを守ろう」に悪い影響を与えているという皮肉な状態になっています。
逆転の発想で、我々人間が親子何代にも渡ってサステナブルに飲用できる塩分濃度を少しずつ高めて行くのは難しいですかね? StaySDGs!!
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