遊廓さんぽ②八戸編
盛岡から八戸へ!雪と共に北上する…。
八戸から八戸線に乗って小中野駅へ向かった。1時間に1本しかない電車、逃したら大惨事。
新むつ旅館は駅から15分ほど歩いた場所にある。ずっと来たかった元遊廓の旅館。女将さんのご厚意で中を見学させてもらった。
入ってすぐ目につくのは遊客帳。お客さんの名前から住所、身体的特徴まで事細かに記されている。こういったものが未だに残っているのは非常に珍しいらしい。
八戸は海が近く、海を渡って様々なお客さんが来た。だから何か揉め事が起きた際に備えて、このような情報を残したのではないかと女将さんは言う。
手前にあるのは男根の形をした木彫りのおもちゃ。これに紐をくくりつけて引き摺り、お客さんが来ますようにと願掛けしたらしい。
ここで張見世が行われた。
格子を挟んでお客さんに顔見せをする。新むつがある通りは右手に進むと行き止まりで、人通りが悪くあまり客入りは良くなかったそう。
Y字型の階段を登って2階に行く。
客室には当時の遊女の写真や、映画のロケ地で使われた際の写真などが飾られていた。
途中、女将さんがお煎餅とチョコレートをどうぞと渡して下さって、1時間くらいお話ししていた気がする。(お忙しい中ありがとうございました…。)
「わたしが生きているうちは出来ることはしたいのよ」と言う女将さんはすごく活動的で、今後の旅館の展望についても楽しくお話しされていて。私もそんな働き方が出来たらいいなあ。
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旅館を後にして、付近を散歩する。女将さんによるとこのあたりは数十件遊廓が立ち並んでいたそう。
ジグザグした道路。以前他の遊廓跡地に行った時にも感じたが、遊廓街は段差や道の形など何となく特徴的なところが多い気がする。
この辺であまりの寒さに手が動かなくなり、雪で歩くのもしんどいのでバスに駆け込む。もはや行き先もわからないけれどいいや!!と行き当たりばったりで乗ったら運良く中心街に着けた。
陽も落ちてきた頃、八戸の民俗芸能であるえんぶりを観に更上閣へ。
甘酒とせんべい汁をいただきながら…。
家内が豊かになるよう、鯛を釣り上げ旦那様に捧げるまでを演じる「えびす舞」。地元の子供から大人まで、この日のために練習してきた演目を披露する。演者達の地に響き渡るような熱量に圧倒されて、放心しながら自分の人生について考えていた。。
仙台から青森まで、遠野物語・遊廓跡地・えんぶりと巡ってみて、東北特有の土地と深く結びついた、湿り気のある文化に興味が増した旅だった。