インド リシケシュ ヨガの旅
2013年の夏のことですが、インドのリシケシュへヨガ修行の旅(2週間)へ行ってきました。その時の旅の様子をお伝えします。リシケシュは、ヨガアシュラム(ヨガの修行所)が点在するヨガの聖地。ビートルズが滞在して修行したことでも知られていますね。
旅の目的は、日常の刺激から解放された環境のなかで、ヨガと瞑想を通じて、意識を自分自身に向けること、とかなんとか考えていましたが、あまり気張らずに旅立ちました。。
成田からデリーまで約10時間のフライト。新しい国への一人旅はいつもそうなのですが、着陸時に車輪がドスンとしたショックと同時に、旅の期待とちょっとした不安が込み上げてきます。
入国審査での質問「x*c$67?>9?>*+ インディア??」。最後の「インディア?」しか聞こえません。。本場のインド英語、のっけから全然聞き取れません。。何度も聞き返すと、インドのどこに滞在するのかを聞いていることが分かってきたので、なんとか入国審査をくぐり抜けました。
出国ゲートを抜けると、人がほとんどいない。うろうろしてたら、「外にいっぱい人が待ってるよ」と教えてくれた。インド人優しい!
インドの事情もよくわからないので、今回は空港からのピックアップ、ホテルなど全て日本で手配しておきました。無事ドライバーと合流できて一泊目のホテルへ向かいます。ホテルはこじんまりしてこ綺麗な感じ。ただ、シャワーのお湯は出ませんでした。。
翌朝、ホテルの周りを散歩していると、いきなり、子供を抱えた女性が近づいてきて、お金をせびってくる。かなりしつこい。これもインドでよくあるシーンですね。
この日は、リシュケシュへ向かいます。まずはハリドワール駅まで約5時間の列車の旅。駅は人でいっぱいです。
駅でタイムテーブルを確認しようとしましたが、3m以上あって、上のほうは全く見えません。。何のためにあるのか不明です。。
座席はエアコン付き車両の2等席、リクライニングシートでもないし、ちょっと落ち着きません。。周りはもちろんインド人だらけ。ちょっと不安の中、列車の旅がスタートしました。
目の前のインド人が、車掌と何か話しています。どうも、ちょうど真上のベッドの席が空いているので、使いたいと言っているようです。私にも話しかけてきました。上のベッドが使えるけど、「俺が使っていいか?」と聞いてきているようです。私に気を使ってくれているのです。インド人、やさしい!
昼食は、ホテルで用意してくれたお弁当。じゃがいもの炒めもに、サラダとごはんもありたっぷり。香辛料が効いていてとても美味しい!ただ、箸はついてなかった。スプーンセットを持参していてよかった。
出発して3時間ほど、列車が駅に停車してアナウンスが流れました。何を言っているのか全く聞き取れません。みんな列車から降り出しています。今度は、近くにいた若い女性が、私が理解してないのを察知してくれたのか、丁寧に説明してくれました。私が不安そうな顔をしていたのでしょう。。
「この駅では、30分ほど停車するよ」「何か欲しいものあれば何か買ってくるよ!」と言ってくれています。「俺は大丈夫だよ」と答えました。やっぱり、インド人優しい!
その後、いきなり、タブレットパソコンを手渡され、「これ、ちょっと預かってて」と頼まれました。なんか大胆ですね。戻ってきたら、「サンキュー」と言いながらジュースを手渡されました。インド人やっぱり優しい。。
その女性は9月から大学院生になる予定で、引っ越し先へ向かっている途中とのこと。インド、日本のことなどいろいろ話をしました。誰も知っている人がいない異国の地、人と話しをするとなんか安心します。座席に座りながら、少しほっとした気持ちになりました。
あと、少しでハリドワールに到着。なんとなかく心がウキウキしてきます。ハリドワールの駅に近づいてくると、列車内が騒がしくなってきました。列車のドア付近には人が集まって、外を眺めながら声を出しています。みんな興奮気味です。エネルギーが高まっているのでしょうか。周囲の影響か、私自身も気分が高揚してきました。けっこう流されやすいのです。。
列車は、止まったり動いたりしながら、20分程かけてようやく駅へ停車。電車から人が、あふれ出てきます。流れに流されるままに私も移動。
サルが出迎えてくれました。と思ってカメラを向けたら、猿が興奮して襲われそうになってしまいました。インドのサルでもモンキーマインドで心は落ち着いてないようです。。
異国に来て、自分自身が興奮気味なのかもしれませんが、日本とは何か違うエネルギーをすごく感じます。ハリは、「神」 ドワールは「門」という意味で、神々の住む山地への入口と言われている場所。聖地の雰囲気を感じます。
ハリドワールかリシケシュまでは、車で1時間ほど。手配していたドライバーと合流してリシケシュのアシュラムまで向かいます。
車の運転はかなり荒く、車やリキシャ(3輪タクシー)を次々に抜かしながらかっ飛ばしていきます。そして、抜かす度にクラクション。車の運転は聖地という穏やかさは全く感じません。。
1時間ほどで、12日間滞在することになる、アシュラム(ヨガニケタン)に到着です。ヨガニケタンは、メイン通りの入り口から数分登った高台にあります。高台にあるヨガニケタンは、街の喧騒から離れて、眺めがとても良い場所。ガンジス川を一望できます。
短期宿泊者は、メイン通りのゲストハウスに泊まっていました。街中を動き回る人は、ゲストハウスのほうが便利なようですが、夜間もリキシャのクラクションなどかなりうるさいようです。
日本から飛行機、電車、車と乗り継いで、ようやく目的に到着。まったりとしたリラックスタイムです。異国への旅は、見るものが全て新鮮なのでとても刺激になります。これも海外へ旅の醍醐味でしょう。
目的地はもちろんですが、旅は移動での出来事も楽しみのひとつです。ベッドに横になって、まったりしながら、移動中の出来事が頭の中で駆け巡っています。ヨガニケタンは、設備もそうですが、スタッフも良い雰囲気を感じました。アシュラムでの12日間の生活が始まりました。
海外旅行での楽しみのひとつは食事。不安のひとつとも言えますが。。特に2週間のインドでの滞在となると「合わなかったらどうしよう。。」「お腹痛くなったらどうしよう。。」と考えてしまいます。実は、けっこう心配性なのです。。
初日の夕食、楽しみと不安な気持ちを抱えながら食堂へ向かいます。カレー風味の野菜がふたつ、ひとつはスープっぽいもの、もうひとつは炒めた感じのもの。それに、野菜に、ごはんに、チャパティーです。昼食と夕食はいつもこんな感じです。
野菜の種類が違うだけで、あとは全く一緒。「毎食、このごはん?」と、思われる方もいるかもしれませんがこれが意外と美味しいのです。もちろん、インドに来ていて、気持ちがインドモードになっていることはあると思います。私は、12日間まったく飽きずに、美味しく食べることができました。
ちなみに朝はこんな感じで、チャイともう一品。ミルク粥のようなもの。ピーナッツと米を炒ったようなもの。これはとても美味しかった!食事の心配は無用でした。
ちなみに、リシケシュの街は、肉、魚、アルコールは流通していませんので、全てベジタリアン料理になります。私は2週間の滞在中、とくにお腹が痛くなることは無かったです。むしろ快腸でした!
アシュラムの環境が比較的衛生的だったということもあるかと思います。食事の時に配られるお水は、浄水器の水を使っているので大丈夫なようです(日本人も飲んでました)。私は念のため、毎回ミネラルウォーターを利用していました。歯磨きの時も。。
あんまり心配し過ぎるのも良くありませんが、油断は禁物。食事については、初日の夕食でホッとしました。翌日からは、毎朝4時半起床で本格的にヨガ生活になります。
ヨガニケタンでは、このようなスケジュールが決まっています。
4:30 起床
5:00~6:00 瞑想
6:30~7:45 ヨガアーサナ(ポーズ)
8:00~ 朝食
12:00~ 昼食
15:15~16:00 レクチャー
16:00~ ティータイム
17:00~18:15 ヨガ
18:45~19:45 瞑想
20:00~ 夕食
修行というと、お寺の修行僧のような厳しいイメージもあるかもしれませんが、このアシュラムでは、厳しさは全くなく、かなりゆる~い感じです。過去には3時間じっと座って瞑想を続けることができなければ入門できない、という時代もあったようですが。。
今は、「本場のインドでアシュラム体験」といった日本のツアーにも利用されているくらいなので、修行所とは少し違う感じがします。スケジュールが決まっているだけで、ヨガへの参加は自由。宿泊と食事だけで滞在している方もいるようです。
私の目的はのひとつは、「瞑想」と「ヨガアーサナ」なので、滞在中はすべてのレッスンに参加しました。朝4時半、アシュラムに鐘が鳴り響きます。鐘の合図で起き、夜明け前の薄暗い中を、メディテーションセンター(瞑想ルーム)へ向かいます。
とても綺麗な建物です。これは、週末の掃除のときに撮った中の様子です。
ここで朝、夕方とそれぞれ1時間が瞑想の時間です。
部屋の前方に瞑想担当インストラクター(?)が座って、最初に瞑想の説明をしてから始まるんですが、何を言っているのかよくわかりませんでした。特に座り方などの指示があるわけではありません、各自、座布団を自分で用意して、1時間ここでじっとしています。 もちろん瞑想中は真っ暗になります。
私自身15分程度の瞑想は行っていましたが、さすがに1時間は長く感じました。 30分ほどすると段々足が痛くなってきてしまいます。そうなると、「今、何分経ったかな?」「後、どれくらいだろう?」と、全く瞑想状態ではなくなってしまいます。最初はなんとか動かないように頑張っていましたが、余計に痛さが気になってしまいます。これでは意味がないと思い、足が痛くなったら足を延ばしてから、仕切り直しすることにしました。
こちらのほうがうまく行きました。無理しても意味はないですね。
毎日2時間も行っていると、段々慣れてきます。 最後のほうは、足の痛もそれほど気にならずに、1時間じっとしていられることができるようになりました。
両行中の参加者の方から「瞑想は心を無にすることですよね?」と聞かれることがよくありました。「無にすることができました?」と聞くと、「全くできません。。」 と返ってきます。。
ヨガの瞑想は、心を無にすることではなく、自分自身の心と向き合うこと、と言ったほうがしっくりする気がします。外界の刺激をシャットアウトして、意識を自分自身に向ける。そうすると、段々といろんなことが浮かび上がってきます。
これはあたりまえのことなのです。これを無理に「無」にしようと思っても、どんどんと湧き上がってきてくるのです。湧き上がってきたものをただ傍観するだけでいいのです。沸き上がっているもにに入り込むのではなくて、あくまで「傍観」です。
瞑想はモグラ叩きをしてはいけないんです。モグラを叩けば、ほかの場所から次々にモグラが出てきてしまいます。モグラが出てきたら、そのモグラをじっと傍観するのです。湧き上がってきたモグラは、あなたの心が今繋がっている何かなのかもしれません。
何か意味があるんです。瞑想を通して、自分の心がどんな事に繋がっているのか、自分の心はどこへ向いているのかを知ることが出来るんです。ヨガはもともと「繋がる」という意味です。瞑想は「自分自身の心と繋がる」と言えるのす。モグラの傍観を続けていると、結果として、モグラが全くでてきていい状態が訪れるかもしれません。
日常の生活で1日2時間じっとしている時間を設けるのはなかなか難しいと思います。12日間という短い時間でしたが、ここでの瞑想時間は私にとって、貴重な体験となりました。
瞑想が終わったらアーサナの時間です。ヨガの聖地 リシケシュでのヨガ アーサナレッスン!と期待して参加しましたが、ごく普通のレッスンでした。どちらかというとリラックス系のアーサナクラスです。ちなみに、アーサナの本格的なレッスンを求めている人は、リシケシュの街にいろいろあるヨガクラスのレッスンに参加していました。
朝4時半に起きて、5時から瞑想、そして、アーサナレッスン。瞑想で心をほぐして、アーサナで体をほぐす。心と体のストレッチですね。なんか朝から充実した気持ちになります。やっぱり、早起きはお得です!
アシュラムでの生活、朝夕の瞑想、アーサナのレッスン以外は自由な時間です。気分転換に街に繰り出したり、アシュラム内にある図書館で、ゆっくり本を読んだり、自由気ままに過ごしていました。
街は、人やリキシャ牛などでごった返していて、リキシャやバイクのクラクションなど喧騒に包まれています。ただ、何かエネルギーを感じる場所です。一方、アシュラムのなかは、街の喧騒から離れて、静けさに包まれています。 こちらも別の意味でエネルギーを感じます。
アシュラムと反対側の岸にある寺院では、プージャという神への礼拝が行われていました。このような場所に身を置いていると神聖な気持ちになってきますね。
12日間、街に出たり、アシュラム内でゆっくりしたり、自由きままな、貴重な時間を過ごすことができました。2週間はあっと言う間ですが、海外に滞在すると、刺激が多いのかもっと長い期間過ごしたような気分になります。刺激が多いなかで、日々の瞑想は貴重な時間でした。周囲の刺激に囚われず、自分自身に意識を向けることの大切さを実感しました。
帰国してからのことですが、1か月ほどは肉を食べませんでした。特に体が欲しなかったのです。その後は、普通に食べていますが、どちらかというと野菜中心の食事になっています。あまり使っていなかった車は売ってしまいました。テレビもリビングルームから片づけてしまいました。
自分に意識を向けると、自分が本当に欲しているものがわかってくるのかもしれません。ビールはデリーの空港で解禁しましたが。。
朝の「瞑想」と「アーサナ」は、その後もずっと習慣になっています。2週間のインド リシケシュ ヨガの旅、自分にとっては、とても貴重な旅となりました。時折、環境を変えてみて過ごすことで、いろいろと気付くことがあるように思います。
最後まで読んでいただき有難うございました!
ナマステ。