妄想の実現化~仕事が嫌で鳩になりたかった私がニューヨークへ行く~
◆入社1年目 鳩になりたかった私
入社して最初に営業所に配属され、配属初日から飛び込み営業。毎日続けていましたが、当初、なかなか売上に結び付けることが出来きませんでした。営業所に帰れば上司からのきつい叱責。毎朝起きるのがつらい日々を送っていました。
営業の途中、公園のベンチで一休みすると、目の前に鳩がいます。
何を気にすることなく餌をつばむ鳩を見ながら、
「鳩は飛び込みしなくてもいいんだよなあ」
「上司にも怒られることもないしなあ」
「鳩になれたらいいなあ。。」
と真剣に思っていました。。
その後、なんとか鳩になりたい状態からは抜け出し、売上の実績が出るようになってから、がむしゃらに営業活動を続けていました。営業を続けて8年程経った頃でしょうか、心の中に何か物足りなさを感じてきたんです。
「この仕事をあと何年続けるんだろう。。」
「ずっと続くのかなあ。 いやそんなことは考えたくもない。。」
と真剣に考えるようになってきたんです。
営業活動の途中に、本屋に立ち寄って転職雑誌のページをめくりながら、
「これまでの仕事の実績を考えたら、結局、同じ職種にしか転職できないかあ。。なら、このままのほうがいいかなあ。。」
と思い悩む日々が続きました。
◆入社8年目 今後のキャリアに迷う私
ちょうどその頃、頻繁に会っていた友人は、商社勤務。世界をまたにかけたビジネスをしていました。
「来週からはアメリカに出張なんだ」
「今週はフランスから来日するクライアントの接待なんだ」
私は、都内を徘徊しているしがない営業マン。。
自分がなんか小さい存在に感じてくるようになったのです。
このままの仕事でいいのか?という自分のモヤモヤした気持ち、そして、
海外に関わる友人の仕事の話の刺激もあって、
「絶対に海外に関わる仕事に就く!」
「仕事で絶対に海外出張に行く!」
と頭のなかで真剣に思うようになってきました。
段々とその思いが強くなってきます。海外出張に行って、外国人とミーティングしている自分を妄想してました。。
そこでハッと気付きました。。
「英語がまともに話せない」と。。
今度は本屋で、英語学校の雑誌のページをめくっていました。
そこで、ある英話学校の広告が目に飛び込んできました。
「なんとなく、これだ!」 と思ったんです。
早速、連絡して見学の申し込みです。スクールの内容を聞いてみると、
講座は週に3回、週末は朝から晩まで。かなりスパルタ式。。
これくらいは必要かなと思った私は早速申込み。昼間はこれまで通り
仕事をして、夜、週末は英語学校に通う生活が始まりました。
スパルタ的な英語学校ということもあり、通っている人は、既に海外
と関わる仕事をしている、いずれは関わりたいなど明確な目的を持っ
ている人が多い気がしました。週に1回程度通う英会話教室とは雰囲気
が違いました。
「なんでこの学校に来ることになったんですか?」と聞かれた時は、
「英語に関わる仕事に就く予定なので」とはっきり答えてました。
そうすると、
「何か決まっているんですか?」と聞き返されます。
「いや、全く決まっていません。私の頭の中だけです」
と答えていました。。
この時、英語に関わる仕事は妄想でしかありません。妄想と現実のギャップを埋めようと英語の勉強をしていただけなんです。仕事は、変わらずに国内での営業活動です。英語とは全く関係ありません。今の仕事は仕事と割り切って、取り組んでいました。
この割り切りがすごく大切です。「いずれは、今の仕事から離れて、自分の好きな仕事をする」という目標はをもって行動することが大事なのです。
ただ、ここで大きな問題が出てきます。
現実と妄想の世界をうまく区別しないと、現実の仕事を否定したくなってしまうんです。
うまく区別しないと、「今の仕事は今自分がやることは違う。。」と
思うようになります。そうすると、モチベーションが低下します。
営業は、モチベーションが低下すると一気に営業成績に影響します。
そうなると、仕事が本当に嫌になってしまうんです。
仕事が行くのが嫌になるといろいろなことに悪影響を及ぼします。
未来を想像(妄想?)するエネルギーが低下してしまうのです。
妄想するにはエネルギーがいっぱい必要なんです。。私は、エネルギー
が低下しないように、現実は現実と割り切って仕事に取り組んでいました。
英語学校に通いだしてから、1年程経った頃のことです。海外に関わる部門が人を募集している話がありました。私はすかさず応募しました。
申請書には、「TOEIC」の点数の記入欄が。。実は、ちょうど2ヶ月程前に、私と同じように英語を勉強していた同僚から「TOEIC」を受験しようと誘われたんです。私は受ける気はなかったのですが、「受けても損はないかな。」と思い受験しました。同僚は負けず嫌いなので、ただ、競争したかっただけなようですが。。初めて受験した「TOEIC」点数は、560点。あまり自慢できる点数ではないのですが、受験しておいたおかげで、申請欄に記入することができました。同僚に感謝です。
その後の面接では、国内における営業活動で培った経験を、この部門で確実に活かすことができることをアピールしました。英語については、まだまだ勉強途中ということを強調しておきました。。
そして、無事合格!私よりTOEICの点数が高い人もいたようですが。。
私自身あらためて実感しました。妄想は実現化すると。。
そして、妄想を実現化するために必要なことを引き寄せます。
妄想するにも、引き寄せるにも、自分自身のなかにエネルギーが満ちている必要があります。ネガティブな思考はエネルギーを低下させてしまいます。
大事なのは、現状を否定するのではなく、現状を受け入れながら、「妄想の実現化」に向けて取り組むことではないでしょうか。
◆入社9年目 新しいキャリアをスタートした私
その後、新しい部署での仕事がスタートしました!配属当日、早速米国担当者へのメールを頼まれとき、「え、なんて送ればいいの?」と戸惑ってしまいました。。
英語は学んできましたが、実際にビジネスで使ったことはないので、どのようにすればいいのかわからなかったのです。新しい部署では、こんな戸惑いからスタートしました。
毎日英語のメール文作成に必死です。目的は米国の担当者との意思疎通。理解し合うまで、やりとりするしかありません。 毎日必死に続けることで、英語でのコミュニケーションが鍛えられました。英語でのメール、資料作成、電話会議など、これまでの仕事とは全く異なる世界が広がっていました。なにより、自分が学んできた英語を活かせる場があるということに充実感を感じていました。そして、学びながら実践することの大切さを実感しました。
学びは目的ではなくて、手段なんですよね。 目的が明確だと学びも深まります。英語に関わる仕事に就くという妄想は、現実化することができました。
もうひとつの妄想は「海外出張」です。この妄想も思ったより早く実現化することができたんです。私が配属してから5ヶ月ほど経過した頃のことです。米国の取引先で出荷検査の立ち会いする必要があり、この仕事が私に回ってきたのです。 しかもお客様の同行。。
配属してまだ5ヶ月、製品知識もままならない私が出荷検査立ち合い?大丈夫かな。。とは思いましたが、 念願の海外出張に行ける!と興奮気味でした。。初めての米国出張、念入りに準備をしました。
JFK空港では、迎えのドライバーを待っている間に、怪しい輩が登場したりするハプニングがありましたが、無事現地のホテルに到着。翌日から、取引先に訪問して担当者と挨拶。メールで何度もやり取りしていたのでとてもスムーズでした。そして技術担当者とのミーティング。
海外の企業へ出張してのミーティング、まさに妄想したシーンが繰り広げられているので自分でもびっくりしました。廊下で1人興奮しながら歩いていたので、怪しい日本人と思われていたかもしれません。。
現地での仕事も無事終了してお客様も満足。帰りはニューヨーク マンハッタンに立ち寄りお祝いのビールです。本当においしかったです!
一度は訪れたかったマンハッタン。 グランドセントラル駅を降りたって、摩天楼に囲まれた街を見た時には興奮しました。
周囲からの刺激での興奮と、仕事が終わった充実感が、心のなかで交錯して胸がいっぱいになりました。このような形で訪れることができたことに感謝しました。 こうして、私の「海外出張」という妄想も現実化したんです。
後から聞いた話なのですが、配属して5ヶ月で出張に行かせることは普通ないそうです。私は、配属後も平日の夜は英語学校、夏休みなど長期の休みは海外へ短期留学など英語の勉強を続けていました。
そんなことを知った部門のトップが出張に行かせることを決めたようです。
◆妄想を実現化するために大切なこと
海外との関わる仕事に携わることで、異国の人とのコミュニケーションを経験できました。文化の違いに戸惑ったりと大変なことはありましたが、本当に勉強になりました。現在の仕事でもこの経験はいろいろな面で活かされています。
妄想が深まると行動が変わります。行動することで必要なことを引き寄せます。ただ、今、自分の目の前に与えられた仕事を真剣に取り組むことは大事なことです。
何も意識せずに目の前のことに取り組んでいるだけでは何も変わりません。環境や仕事に流されてしまうかもしれません。
私たちは、海に浮かんでいる船のような存在です。海には大きな潮流があります。何もしなければ、この潮流に流されてしまいます。
潮流に流されて過ごすのか、自分自身で目指すべき目標を決めて突き進むのかは自分自身です。目標を決めて、目標に向けて行動し続けることで、
潮流に流されない動力を得ることができるのです。
普段の生活、自分がどこに進みたいのかを意識し始めると、気付くことがあります。それが、人生を大きく変えるきっかけになるのです。
潮流に流されて過ごすのか、自分自身で向かうべき方向を定めて、自分自身の動力で向かうのか、選択するのも自分次第なのです。