真夜中のヘレン・メリル
今、窓の外は暗い雨です。
部屋もとても暗く、スタンドライトの光だけが、僕がペンを握る机に差し込んでいます。
あなたの教えてくれた、歌詞の意味もわからない古いジャズがとてもよく似合うこの部屋、
この机で、僕はあなたのことを書こうと思いました。これは日記ではありません。手紙でもないでしょう。ただ、あなたのことを忘れないようにしたいのです。
例えば、あなたに会ったのは入学式の日でした。僕と同じように誰とも喋らず、休み時間になると水飲み場で、飲みたくもない水を飲んでいましたね。
い