窪美澄『朔が満ちる』を読んで 家族のかたちを考える
作者プロフィール
著者名:窪美澄(くぼ みすみ)
出身地:東京都
受賞歴:2009年『ミクマリ』第8回 R-18文学賞大賞。2011年『ふがいない僕は空を見た』第24回 山本周五郎賞。2012年『晴天の迷いクジラ』第3回山田風太郎賞。2019年『トリニティ』第36回 織田作之助賞。2022年『夜に星を放つ』第167回 直木賞受賞
職業:小説家 前職:編集ライター
本を書くに至った背景
概要
13歳の少年が父親を殺そうとした。
家には秘密がこもる。
家庭内暴力をふるう父、耐える母、その矛先がいつか妹にまで及ぶのではないかという恐怖。
秘密を抱えたまま少年は大人になっていく。
偶然か必然か、自分と同じ匂いのする女性・梓と出会う。
自分の考え
家族のかたちは、それぞれだ。
そんな薄っぺらい言葉でこの作品を表現できない。
もっと、もっと、深くまで根を張る家族という名の血縁は、どれほど人生に影響を及ぼすのか。少し恐怖を感じた。
何も問題のない家庭は少数派だろう。
1人でさえ人には言えない悩みを抱えているのに、その1人が家族という集団になれば摩擦も起きる。
物語を通して、家族のかたちの疑問が浮かび上がる。
理想は仲良し家族。どんな人でも、根本にはやさしさがあると信じたい。
それでも、そうはいかない環境や事情があるとするならば、自分はどう生きるのか。
人はいくつもの顔(役割)を持っている。
家庭、職場、学校、友人、サークル、コミュニティ…
どれも違う顔だけれど、ぜんぶその人だ。
親が親になる前は、その子どもと同じ、子どもだった。
親が親であるまえに、1人の人間であることを思い出す。
まとめ
家庭という一番身近なコミュニティで自分の立ち位置を考える。
その中で巻き起こる出来事は、口に出さない限り表に出ることはない。
誰しもが秘密を抱えて生きている。
家族=しあわせ という図式を打ち崩す。
しあわせなことや楽しいことだけに目を向けることが人生ではない。
傷だらけになっても自分の足で立ち続け、サバイブする。