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ハチミツを採るためじゃない

誰かと話をしていて、「ミツバチ居るんだ。ハチミツ採れていいね〜」と、言われる。そうすると、私はこう伝えることにしている。

「養蜂をしている、ニホンミツバチを飼っているという意識は無くて、どちらかというと、同じ敷地に住む私の同居人という意識なのだよ。ハチミツは採るためではなく、おこぼれをいただくという意識だよ。」と伝える。

里山暮らしを始めた時、お世話になった大工さんが置いていったハチ箱。
引っ越してからの数年、里山整備に忙しく、私たち夫婦はハチ箱を気にしてもいなかった。5年経ったある日、草刈り中の夫がハチ箱に住人がいることに気がついた。それから始まったニホンミツバチとの同居生活、彼女たちの生態、社会性を観察しては調べとしていくうちに、ニホンミツバチの世界の虜になった。

そもそもニホンミツバチは、セイヨウミツバチのように大量にハチミツを作ることが出来ない。セイヨウミツバチに比べコロニーにいる個体数も少なく作れる蜜量も少ない。

一つのコロニーに住むハチ数:
セイヨウ→2万〜4万匹
ニホン→数千〜2万匹

採蜜できる回数: 
セイヨウ→1年に何度も
ニホン→1年に一回できるかできないか

ニホンミツバチは、自分たちを賄うだけの花粉を集め蜜を作り、命をつなげている。

いつだかヨガティーチャーの姉に、ニホンミツバチは自分たちを賄う分だけの蜜を作り、命をつなげているという話をしていた時、

「ニホンミツバチは、足るを知っているんだね。」

と言った。
正にそうなのだ。

ニホンミツバチと暮らしていると学ぶことだらけだ。
彼らが暮らせる自然環境は、水も土も里山自体が清く保たれていなければ暮らしていけない。清い自然が循環できるように、ヒトという生き物の私もその一部として、この循環がこの先もずっとぐるぐると回っていけるように私の役割をする。
私にとって、ニホンミツバチは、居るだけで良い。
そんな存在なのだ。



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