モンスター 完走感想
「一体何のために生きてるんですか?」
趣里の投げかけたこの言葉が聞きたかった。
ドラマ「モンスター」を見続けて良かったと思いました。
神波亮子(趣里)の身体を通して、この作品を通して作り手が伝えたかった「怒り」「哀しみ」そして「希望」
そんなものがビシバシ伝わってきました。
ドラマ「モンスター」は、第1回から最終回までを使って物語を編み上げられていく素晴らしいドラマだなーと感じました。
メインビジュアルを見る限り、趣里がモンスターのような弁護士かのような作りになるのかと思っていました。もしかしたら、メインビジュアルの撮影時点ではそうだったのかもしれません。・・・となると、この物語を編み上げたのは脚本の橋部敦子さんなんだろうな、と思ってしまいます。でも改めて見る限り話の芯になりそうなことは一切決まってなさそう。違ったらごめんなさい。
何回かを見たあとに「この物語でのモンスターは趣里ではないんじゃないか」と呟かせていただきましたが、最終回まで見てそれが当たっていたのでホッとしました。粒来(古田新太)がモンスターかのように登場してきたときは「出たかラスボス」と思ったものです。かと思えば以外と早い段階で敵ではなさそうな素振り。
最後に突き付けられたのは視聴者自身でしたね。「あなた、モンスターなんじゃないですか?」って。最後の体育館でのシーンを目撃してしまった自分は「幸せが何か知らないで生きている」ことや「お金が貰えるなら多い方がいいと思っている」こと。「誰かのせいにして世の中を見ようとしていない」こと。言葉を失ってるのは野添さんだけじゃなく、僕自身でした。じゃあなんで生きてるのよ、アタシ。
「幸せになりたいから」なんて抽象的なことじゃなく・・・。
ここから感想を超えて行きますよ!
「生活に困らないだけの蓄えが欲しい」
「好きな人と一緒に過ごしたい」
「毎日美味しいごはんが食べたい」
「安心して人間として豊かに暮らしたい」ってこと?それって昔から政治家が言い続けていることですよね。つまりは「豊かな生活=幸福」だと僕は、あなたは、みんなは思ってると認めて大丈夫ですか?もしかしてそのこと自体が「洗脳」だと考えたことはありますか?
国はなぜ戦争をするか。
ロシア・ウクライナ戦争は、イスラエル・パレスチナ戦争は何故起こったか。そこには常に「豊かな生活=幸福」という信念があるからです。時間を巻き戻して太平洋戦争はなぜ起こったかを思い出してみましょう。但しこの話は僕の次回公演の話と被っていくことも多いのでものすごく簡略化しておきます。
ことの発端は第一次世界大戦後に吹き荒れた世界恐慌です。このとき世界は二つに分かれました。世界恐慌に影響を受けた国と受けなかった国です。アメリカ・イギリス・フランス・スペインなど、世界中に植民地を持っていた国は、ある程度自給自足ができたため大きな影響を受けずに済みましたが、日本・イタリアなど植民地を持たない国は世界恐慌の影響をまともに受ける羽目になりました。ちなみにドイツは第一次大戦で敗戦しているため国力は下がり放題です(そのためこの後ナチス政権が生まれるのですが)。各国の政治家たちは思います「やっぱ領土が広くないと国民の生活を守る事はできない」と。さて日本はその後、日中戦争へ突き進みます。領土拡大が国民の幸せだと信じるのです。
政治家が思う幸せをベースに置くと、最終的には領土拡大という話になってしまう。平和ボケしている僕たちは今、どんどん骨抜きにされて政治家と同じような言葉「豊かな生活=幸福」に縛られているのかもしれません。政治家は最大多数の最大幸福を考えることが仕事ですからそれでいいのかもしれない。でも個人の幸せまで生活の豊かさだと考えていいのか。
この話が「モンスター」の感想と思うのかどうかはみなさんに委ねますが、僕はこのように刺さったという感じでした。今一度、自分の幸せが何かを考えてみてはいかがでしょうか。
因みに僕の中にある「人間の4大欲求」にはその答えがあると思っています。食欲・性欲・睡眠欲・〇〇欲。この4つ目の欲は恐らく誰もが持っていて、麻薬的で危険な欲だと思っています。新興宗教なんかはこの〇〇欲を利用していますね。ただ世界の幸せもこれなくしては生まれない。そういうものです。だからこそ主張しきれないのですが・・・。
もしここまで読んでいただけたら、コメントしてほしいです。
とにかく「モンスター」はキャスト・脚本ともに最高にエキサイティングでした。趣里が「ふふっ」って笑うのは何ともくすぐられました。