AI家電はなぜヒットしないのか -PdMとして課題を捉える
誰に向けて書いたnote?何分で読める?
サービスの運用を任されてから1年目が終わろうとしているPdM
webプロダクトの改善・新規開発プロジェクトに配属されている方
PdMに転向したいエンジニアや、デザイナー
GA technologiesを人材エージェントに紹介されて検討中のPdM
このnoteは、5分程度で読み切れる文量です。俯瞰した視点を持つことができ、PdMの立ち位置から戦略決定をするときの参考になれば幸いです!
なおプロダクトマネージャー第一歩目を踏み出したところ、という方は
当社PdMチームのhirata氏が書いた記事とか、
クラシルPdMの奥原さんが書かれた、プロダクトマネージャー1年目の教科書のほうが全体感をつかめると思いますので読んでみてください。
ちなみに、最近読んで、なるほどなーと思ったコードレビューの極意。それは「自分のことは棚に上げること!!」に感化されているので、この記事も棚上げ感MAXで進行していきます!今できていることを基準に書いたりしていません!
軽く自己紹介です↓
申し遅れましたがはじめまして。
住まい探しや資産運用のお手伝いをするサービスRENOSYで、不動産投資事業のプロダクトマネージャー(PdM)をしている、さとたつと申します。
さて当社のプロダクトやPdMの概念像については、前述のhirataさんの記事にありましたので、私はその中間に転がっている話、フワッとしがちだったり・細かくて枝葉の話をしすぎたりしがちな時には「課題を捉えないとダメだよ!捉えるためにはスコープの図解が効くよ」という話を書きたいと思います。
当社は不動産商品を扱っていますが、明確にテックチームがありそこの雰囲気は文化系の部活動に近いです。最後に求人の広告があるので、もしよかったら話を聞きに来てくださいw
不動産とあるのでマッチョ感あるかもしれませんが、私自身ポケモンやMt:Gが趣味の内気なタイプです。
課題解決にいたるための全体像
課題解決までには仮説から課題を抽出しなければいけませんが、仮説は思いつきではありません。さらに、チームとして動こうとすると認識合わせがけっこう難しい。
そこで時系列で3段階にわけて捉えたいと思います
現在(全体像とスコープ)
過去(背景)
未来(仮説)
の観点が必要だと思っており、今回は第1段、現在編です。
失敗したプロダクトを大きく分類すると
はじめに。課題をうまくとらえられなかったらどうなるか?
残念ながら、以下のいずれかを体現したプロダクトになります。
仮説が妄想 課題だと思いこんでいたが現時点では課題になっていない
部分最適 課題に対して解決策だけが高スペック
ファンタジー 課題が巨大過ぎてこの単位では実現不可能
小インパクト 課題&解決策が小さいためリソースに対して得られる価値が少ない
具体的に「AI搭載の家電」「100徳ナイフ」などの例を挙げてみたいと思います。
仮説が妄想な例:AI搭載の家電
大体の家電は一つの仕事が課題であるのですが、プロダクトだけで解決しようとすると、「今までの仕事をより精密にできる」 or 「今までできなかったことができるようになる」の2軸で検討することになります。
結果として、最近だとIoT家電、AI搭載家電が量産されることになりました…
世の多くの挑戦して敗れたプロダクトがこれだと感じます。たくさん紹介できますが、今回のテーマからそれてしまいそうなのでまた別の機会に。
部分最適な例:100徳ナイフ
よくPdM業界で話題になるやーつ。一つの課題「必要な時に欲しいツールが手元にない」が極まりあれもコレもつけた最終形。ポケットに入る重量ではないです(1.4kg)
ファンタジーな例:3Dプリンターで作った家&OS
私が不動産業界に入ってすぐのころ考えていた妄想。
古くなるから価値が下がっていくわけで、丸ごと作り替えられるようにすればいいじゃんと、ガワは3Dプリンターで低コストに、必要な機能をOSとして制御できたら…なんていう妄想でしたw
もしかしたら未来では可能となっているかもしれませんが、現状では技術的にも建築基準法的にも実現は難しく、ある種トレーラーハウスみたいなものなので価値を付けづらいと思われます。ちょっと課題が大きすぎました
小インパクトな例:独立したフォームの個別 A / Bテスト&改善
仮にここが汎用フォームや横展開可能な検証だとすれば重要ポイントになりえますが、細かな改善に集中しすぎるのは良くないという話
もちろん場合によっては、とても価値を感じるプロダクトではありますが、その多くは
現状の課題に対して改善方法が大きすぎる(現状にフィットしていない)
課題が小さすぎるか巨大すぎる
だと感じます。顧客の課題、難しいですね。
スコープを見定める
プロダクトの価値とは?
ゴールである「プロダクト価値が最大化されるようにマネジメントする」について、価値=実現可能性が高くて、課題が解決できる方法の提供だとします。
図にするとこんな感じでしょうか。
ここに大きな間違いがありました。実はこれ、解決方法の分解でしかありませんよね。何か芯を喰った企画じゃないな…というときは、大抵この評価軸で検討しちゃっています。私もよくあります。
PdMとして求められるのは、
課題(解消度 × 実現可能性 / 大きさ) = 解決により見込まれる価値
※課題はタイミングにより変動する
この「見込まれる価値」を最大化するのがゴールですので、もう少し広い視点を持てるようにしたいと思います。
価値を生むためには課題を解決しなくてはならない
×××な課題が存在し、プロダクトによって解決できる
×××な課題よりも大きな△△△のような課題が存在する
現状実行できるのは×××な課題解決までである
→ ×××な課題を解決することが、現時点でプロダクトの価値を最大化できることである
ここまで検討する必要がありそうです。ちょっと上の図を書き換えてみたいと思います。
見込まれる価値の最大化
引いてみると点線の四角部分の話でした。
こうしてみると価値が最大化できるのは、現時点では別の解決策のように見えます。
この図にある課題を描くとき、アプローチ方法として
a. 事実の共通項を探す(帰納的)
b. 現状にセオリーを当てはめる(演繹的)
があるので、そのどちらかを使ってみつけたかを別表にまとめておくと便利です。
課題の根拠こそが、俯瞰するときに何よりも大事です。
課題の大きさ:解消度:実現可能性のバランスをとる
課題探しをしていると、解消不可能な大きさの課題にぶつかるケースが多いです。そもそも系です。
価値提供できる課題を探すことを目的としているので、巨大すぎるときは価値提供できる単位まで分解します。
この時、自分たちが価値提供できる単位を見誤ると、いわゆる炎上プロジェクトになっていきます。一旦は、今つかえる資源(内部リソース・外注含め)の7割ぐらいで対応できるかを検討します。残りの3割はバッファです。
この見積もりが難しいのです。おそらく正解はないです。
類似した案件があれば良いのですが、初めて取り組む場合は フィボナッチ工数見積 でやっていくと、一定の動機づけになって良いと思っています。
検討結果として、だいぶクリアになってきたと思いませんか?
これで現状は、一番広く深い範囲で課題に向かうことができるようになる(=価値の最大化)と思っています。
終わりに
スコープを切ることで、焦点が絞れます。
漠然と捉えるのは難しいので、今回は現状理解に集中して必要なポイントをまとめてお伝えしました。
まとめると
① 目的はプロダクトを通した価値提供なので、課題の根拠が最重要というのが前提
② 俯瞰するときに、帰納的か演繹的かをメモしておくと便利
③ 限界の7割程度を見越して、スコープを絞るといい感じになる
さらっと書いてしまいましたが、足腰の筋トレみたいなものかもしれません。すぐに効果がでると約束はできないのですが、いつか実を結ぶと考えています!
ちなみに私が個人的に大事にしているのは「関係者全員から学ぶこと」「出来ないことや知らないことを楽しむこと」「正直であること」なのですが、同じような考えの方は当社PdMオススメです。まさに今大きな変化のタイミングの渦中に身を置けて、学びが凄まじいです!
我こそはラーニングアニマル!もしかしたら自分にもできるかも!やってみたいぜ!という方、ぜひお話しましょう。下記URLで募集をかけています。