日常生活の行動が、仕事の能力を養う
世の中の多くのビジネスマン、ビジネスウーマンはキャリアアップと能力開発のために、週末は話題のビジネス書を読んだり、YouTubeで著名な経済評論家などの動画を見て日々勉強されていると思います。私も30代半ばぐらいまでは「〇〇思考法」「○○スキルを身につける」などのタイトルの新刊が店頭に並ぶと、むさぼるように読んでいました。確かに、自分の思考が硬直化しないために、日々情報をアップデートする必要はあります。
ただ、30代後半で仕事での責任範囲が広がり始めた頃、「週末や余暇の時間をこんなことばかりに使って良いのか」と以下のような疑問をもつようになりました。
自分は仕事バカになっていて、逆に視野が狭くなっていないか?
既存の仕事の効率アップのための情報集めばかりで、新しい発想を促すための経験が足りていないのでは?
そこで、あえて仕事に直接関係のないことにも意識的に挑戦するようにしたところ、実はそれらの経験がのちに仕事にポジティブに作用することを認識しました。今日は自身の経験より以下の効果についてお話しします。
子育て
料理
運動
では順番に。
1. 子育て
子供がまだ小さかった頃に、子供の素朴な質問に答えることで、難しいことをわかりやすく説明する能力が養われた思います。
例えば、子供が小学校低学年だった頃に「なぜお年玉を銀行に預けると、一年後に少しお金が増えるの?」という素朴な質問をしてきました。とっさに、「利息だよ」と返しましたが、理解できるはずもありません。
そこで、少し考えて、以下のストーリーを作りました。
銀行の役割は君のお金を預かって、お金が必要な人にそのお金を貸すことだよ。
その代わりに、銀行は1年後に君に「お礼」をあげるよ。
まず君は銀行にお金を預ける、すなわち、銀行は君からお金を借りるよ。
銀行は、おうどん屋さんを開いてお金を儲けたい人に、君から預かったお金を貸すよ。
おうどん屋さんは1年間商売したあとに、銀行に借りたお金と一緒に、儲けたお金の一部を「お礼」として払うよ。
そして、銀行はおうどん屋さんから預かったお礼のお金を君に払うよ。
よって、君が銀行に預けたお金はお礼分増えるんだよ。
このお礼のことを「利息」っていうんだよ。
こんな感じの説明を子供にしました。このような素朴な質問と回答が毎日続くうちに、「これって、経営陣に対して、普段直面している業務上の複雑な問題を、いかにわかりやすく説明するかに似てるな」と思いました。
そう思う一番の理由は、会社の偉いさんも小さい子も機嫌の良し悪しがあるからです。それに応じて、こちらが話す話題も、タイミングも変わってきます。
そういった意味では、子育ては複雑なことをわかりやすく伝える最高のトレーニン
グです。
2. 料理
2年ほど東京から大阪に単身赴任した時期があり、自炊する頻度が増え、料理の楽しさに目覚めました。同時に、料理はひとつのプロジェクトだと考えるようになりました。
料理を美味しく作るには事前の料理手順の計画が不可欠です。すなわち、仕事で言うとプロジェクトの工程管理です。
今日は7時に鶏の唐揚げを夕食に食べよう。
そのために6時50分にご飯が炊けるように準備しよう。
鶏の唐揚げは揚げる3時間前から醤油出汁やみりんにつけておいて、味がよく染み込むようにしよう。
となると遅くとも午後いちでスーパーに買い物に行かないと。
これって、メーカーのサプライチェーン工程そのものですよね。
買いもの =資材調達
仕込み =部品加工
鶏を揚げる=製造
盛付け =出荷準備
きちんと食べ始める時間、すなわち、仕事でいうと市場へ出荷するタイミングを逆算して料理手順の計画をたてます。
よって、料理も業務計画の策定や工程管理の良いトレーニングになります。
3. 運動
夕方の定時以降、仕事中にどうしても考えが行き詰まった時はジムで泳ぐようにしていました。
泳ぎながら仕事の課題や悩みを考えていると、仕事中には気づかなかったアイディアが生まれることがあります。普段とは視点が変わり、違う自分になれているのだと思います。
同様に、上司や顧客に無理難題を押し付けられたり、やりきれないことがあった時にも、水泳が助けてくれます。
これは泳ぐことにより、セロトニン、オキシトシンなど心を落ち着かせ前向きになるホルモンが脳内にでてくるのでしょう。会社にいるときは、あんなに後ろ向きな気持ちで、「こんな会社、辞めてやる!」と思っていたのに、不思議と泳いだあとは、「ま、許してやるか」などと前向きになれることが多かったです。
よって、運動により、問題解決の糸口が見つかったり、仕事のストレスと折り合いがつけられることが多いです。気分転換に試してみてください。
まとめると、仕事以外の活動は、むしろ、自分の能力を高め、業務にポジティブに作用します。ぜひ、余暇を楽しんでください!
最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。