なぜ、研修の効果測定なのか?
先日、とあるお客様と人材育成や研修効果について議論していた際に、そもそもなぜ研修の効果測定って必要なんでしたっけ?という一周回ってご質問を頂いたので、改めて文字に起こしてみたいと思いました。同時に、研修の効果測定シリーズを書いてきた中で、今回は最も大切な稿になるのではないかとも思っています(現時点で)。
もしよければ、お付き合いください。
▼本当に効果があった研修なのか
綺麗な研修体系≒育成体系が多くの企業で企画され、様々な研修が行われます。この体系を作るのは本当に大変だと思います。その結果、研修で学習した内容が、受講者の成長や現場での行動変化として機能している研修は、果たしてどのくらいあるのでしょうか?
研修の目的や内容によって、すぐに効果が出ないものもあるでしょう。そういうものは省いたとしても、研修効果を追うこと無く、研修の企画・実施をしている現状があると思います。もしかしたら、研修効果は測定できない、という前提に立ちすぎていて、業界全体が思考停止になっている気がします(失礼…)。
内容がいまいちであれば勿論ですが、例え一時的な満足度や高揚感があったとしても、それだけで数十万~数百万もの費用をかける意味が、果たしてあるのでしょうか。
効果をちゃんと定義し、効果の高い研修は磨き上げ、効果の薄い研修は代替か廃止する。効果を見極めて常に研修体系をブラッシュアップし続けること、それが最も効率的で費用対効果のある研修体系ではないでしょうか。
▼見える化は、受講者の気づきを最大化させる
我々が行う研修の効果測定は、まだまだ完全で完璧なスキームではありません。そんな中でも少しずつ可視化に取り組み、その内容をお客様のご協力のもと、研修受講者にも包み隠さず結果をお伝えします。受講者からどんな反応があるのだろう、とドキドキしましたが、実際にやってみて、99%の方が出てきた数値を真摯に受け止めてくれたように思います(明確な拒絶反応をされた方が今までで2名)。受講者が起こした行動が職場の皆さんに伝わっている/感じてくれている、ということがわかるだけで、自信がついた方が多くいらっしゃいました。例え結果が芳しくなくても、その結果を受け止めどの様に改善していくのか、本当のPDCAがここにあり、最も意味があることです。このような刺激を意図して提供することで必ず受講者の気づきに繋がり、成長のきっかけになるはずです。
↑は大事な観点ですが、個人的には↓の方がより大切だと思っています。
▼誰もが幸せな人生を送るために、成長を可視化する
ここ10年間で大きく変わったことがあります。それは、組織に属することは一つの手段であって、誰もが自分の人生を自分で決める。生き方、働き方の多様性が社会全体として受け入れられ、次への選択の自由度が大きく高まりました。このような社会変化の反作用は、求められる知識や技能の再習得化(≒リスキリング・リカレント)を意味し、やりたいことをやるのであれば自分で自分を磨き続ける必要がある、という当たり前ですが厳しい現実です。
学生時代は全国模試などで自分の立ち位置を知ることができ、何をどう勉強すべきか、という対策が打てました。ただ、社会人になるとその指標はなく、自己啓発と言っても少々精神論に頼る部分はあるように思います。
自分の立ち位置を全国レベルで把握することは難しいですが、少なくとも今いる組織でどのように見られているかを可視化するだけでも、今後の啓発ポイントを探ることができます。
定量化された現実を直視し自己改善を続けていくこと。突き詰めればそれが、その方の幸せな人生に繋がると信じています。