なぜ、研修の効果測定なのか? ~きっかけ編②~
もうちょっと歴史を遡ります。
前職で営業をしていた私は、ご提案の後によく聞かれていました。
”貴社の研修の効果ってどの程度ありますか?”
それなりのご提案をするわけなので、研修効果は気になるところですよね。当たり前のことですし、今思えばどう答えてくるのか、というのもお客様から試されていたのかもしれません(嫌味な意味ではなく)。まだまだ未熟な私は、これといって明確な回答がなく、何とかその場をしのいでいました。
そして当の私もお客様への研修報告会の際、満足度の高低を間違いなく話していました。のどに刺さった小骨のように、どこかしら心に引っかかるものを感じながら。
この大きな問いに答えられない自分がもどかしく、以来10年以上頭を悩ませることになります。
アンケート満足度を高める研修でいいのか?
2011年に独立、研修の世界で自分の力どこまで通用するのか、自由と自己責任の世界に足を踏み入れました。
そんな折、アンケート満足度で結果が大きく左右されるこの現状に悩んでいると、先輩の研修講師の方からこんなアドバイスを頂きました。
”アンケート満足度は凄い大切で、それが高くないと次が決まらないよ。ある研修会社では、アンケート満足度を上げるためのナレッジ集があるくらいだからね。”
その方は、駆け出しの私のことを思い、仕事を獲得していくためには必要な要素だと諭すように教えてくれたんだと思います。 確かにアンケート結果は大事です。ただ、果たして満足度が高い研修は、受講者の成長に繋がり職場での行動変容を促し、仕事の成果に繋がるものなのでしょうか?ちょっとまてーい!アンケート満足度を上げるナレッジだと!?なんじゃそりゃ!!
構造を変えなければならない。
独立して一人で仕事をしていると、来年もオファー頂けるかどうかが死活問題になります。何とかいい結果を収め、次回に繋げたいという心理状態は痛いほどよくわかります。他方、発注する人事側としても、研修の効果測定が難しい分、せめて受講者アンケートの結果が高い方が、社内での説明がつきやすいのも事実です。
このような関係性や業界の特徴の中で、本来の研修の効果とは何か、という議論がおざなりになり、受講者アンケートが大きなウェートを占めてきました、間違いなく。中には、受講者アンケートなんて関係ない、という気骨な人事の方もいらっしゃいますが、はっきり言ってごく少数です。
本当にこのままでよいのだろうか?研修もこの業界も。
質の高い成長を促すために、
良い研修を行うためには、
可視化を突き詰めなければならない。
構造を変えなければならない。
そう思い始めていました。
つづく。