人間はこれまでに、そのクリエイティビティを発揮して、サディスティックな拷問手法を次々と開発してきた。その一つに断眠法というのがある。読んで字のごとく、睡眠を断つというシンプルなもの。
2017年、スタンフォード大の先生が書いた本をきっかけに「睡眠負債」が話題になったけど、断眠法は極度に「睡眠負債」を貯めることで、認知力や判断力を奪って精神異常を引き起こさせ、ついには死に至らしめるという手口で、尋問などにおいては、身体的な苦痛を与える恐怖に基づく方法よりも効果があるという研究もあるそうだ。事実、ブッシュ政権下でCIAがテロの容疑者に使っていたとされるのがこの断眠法だと言う。
「睡眠負債」を貯めることは、ストレスの増大や免疫システムの弱化、慢性疾患のリスクの増大、認知機能の障害なんかも引き起こすし、拷問になるくらい心身にとって負荷が大きい。だから、睡眠時間が短いってことは自慢すべきことでもなんでもなくて、ただただヤバいんだよミサワさん。
乳幼児のお母さんたちは睡眠時間を削って授乳している人が多いと思うんだけど、彼女たちは「睡眠負債」を貯め込まざるを得ない状況に置かれている。睡眠時間だけじゃなく命も削っていると言っても決して言い過ぎじゃないし、その生活が命がけの出産と同時に始まるのである。しかも、その多大なるストレスをベビーにぶちまけることもなく、眠い目をこすりながら赤ちゃんを優しく包む。その姿はまさに聖母。ああ、尊い。
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